経営戦略は内部監査の対象ではないという考えもありますが、内部監査は戦略の「策定」と「遂行」に潜むリスクを分析・把握し、提言することができます。内部監査が戦略リスクを監査対象とすることで戦略に対する社内意識を高め、大きなリスクに内部監査の資源を配分し、組織に付加価値を提供することが可能となります。本稿では、戦略の策定と遂行において内部監査がどのような価値を提供できるのかを考察します。 戦略リスクに対する内部監査の必要性 内部監査は経営に資する価値を提供することが期待されています。しかし、現状では、書類の軽微な不備の指摘など「重箱の隅をつつくような」監査業務やリスク評価(部門監査)に終始してしまう内部監査部門も少なくありません。会社の業績や経営を左右するような全社的な戦略プロセスや経営者の意思決定については内部監査の対象ではないという認識が一般化し、多くの内部監査部門では「戦略リスク」へのアプ