◇池内紀(おさむ)・評 (白水社・各2940円) ◇世界に届かなかった「虐殺」真実の証言 ヤン・カルスキは本名ヤン・コジェレフスキ。一九一四年、ポーランド中部の工業都市ウッチの生まれ。大学で法学と外交学を専攻、優秀な成績で卒業後、ポーランド軍予備士官学校、そのあとスイス、ドイツ、イギリスに留学。ワルシャワにもどり、外務省第一級職員として同期トップで正式採用。将来を約束された俊才だった。 「一九三九年八月二十三日、わたしはとても愉快な夜会に招かれていた」 上下二巻、六〇〇ページ余の記録の書き出しである。ワルシャワ駐在ポルトガル大使の息子の主催。おいしいワイン、美しい女たち、ワルツやタンゴ、選ばれた若者たちの陽気なパーティ。だが、その夜にすべてが暗転する。秘密の動員命令により所属部隊に集結。九月一日、ドイツ軍、ポーランドに侵攻、第二次世界大戦が始まった。十七日、ソ連軍、ポーランドに侵攻。独ソ不
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