アホウドリと「帝国」日本の拡大 南洋の島々への進出から侵略へ 著者:平岡 昭利 出版社:明石書店 ジャンル:歴史・地理・民俗 アホウドリと「帝国」日本の拡大 南洋の島々への進出から侵略へ [著]平岡昭利 「アホウドリ」で思い出すのは、史実に材をとった吉村昭の小説「漂流」だ。江戸時代後期、しけにあって鳥島に流された土佐の船乗り長平が、アホウドリの肉を主食に12年半を生き延び、八丈島、江戸を経て、ついに故郷への帰還を果たす物語だ。 明治になって、そのアホウドリが日本人を南の島へと招き寄せる。日本の南方進出の出発点にアホウドリが存在した。本書は、その事実を歴史的に検証したユニークな研究書だ。 八丈島の大工だった玉置半右衛門が鳥島に上陸したのは、1887(明治20)年のことだった。目当てはアホウドリ。人を恐れぬこの大型の海鳥は捕獲が容易だった。15年間に600万羽を捕獲したというからものすごい数だ