公金支出の違法性が裁判で争われている最中に議会が首長への賠償請求権を放棄した議決の妥当性が争われた神戸市の住民訴訟の差し戻し控訴審で、大阪高裁は25日、「議決は適法」とした一審神戸地裁を支持、住民側の控訴を棄却した。 住民側は議決が違法として、矢田立郎市長に約5億3千万円を返還させるよう市に求めたが、河辺義典裁判長は「市議らが十分に討議した上で議決に至った。議決権の乱用は認められない」と判断した。 判決などによると、市は2008年度、外郭団体に派遣した職員の人件費を補助金として違法に支出。だが市議会が、市長に賠償を求める権利の放棄を議決、請求権は消滅した。市は09年度から補助金ではなく、直接人件費を支出している。 今回と同様に差し戻されていた神戸市の別の住民訴訟2件は今年3月、最高裁が上告を受理せず住民側敗訴が確定した。