森田療法は神経症の原因となる不安という感情を建設的に受け容れることによって、神経症の治療を計ろうとする精神療法です。 神経症というこころの病は不安や緊張がそのおもな発症原因となっていますが、こうした不安や緊張を患者が感じまいとすると、かえって不安や緊張がつのってしまう結果となってしまいます。たとえば神経症が引き起こす身体症状である頭痛や動悸にしても、患者がそれを感じまいと意識すると、そのプレッシャーからますます症状が増幅されてしまうのです。 たしかに恐ろしい出来事や困難を前に不安や緊張を感じるのは誰にでもある当たり前のことなのですが、問題なのは不安や緊張を感じまいとするその態度自体です。こうした態度こそが不安や緊張を増幅させて、神経症を引き起こしているのだというのが、森田療法の考え方なのです。 1917年自ら神経症に悩んでいた日本人の森田正馬氏によって考案されたこの森田療法では、こうした考