大方の予想外だったマレーシア史上初の政権交代はなぜ起こり、どこに向かうのか 伊賀司 政治社会学・マレーシア研究 国際 #マレーシア#マハティール 2018年5月9日に投開票された総選挙の結果、マレーシア史上初の政権交代が起こった。マレーシアでは61年間にわたって、国民戦線(BN)が政権を担当してきた(注1) 。国民戦線(BN)とは、マレー人政党の統一マレー人国民組織(UMNO)を中核として、民族と地域のラインに沿った13政党が参画する政党連合である。 (注1)国民戦線が発足したのは1973年であり、それ以前は連盟党(Alliance Party)が国民戦線の前身の与党連合としてマレーシアを統治してきた。 国民戦線は今回の総選挙で、連邦下院議席の全222議席のうち79議席を獲得するにとどまり、与党から転落した。国民戦線に代わって与党の座についたのは、元首相マハティール・モハマドが率いる政党連