長谷川三千子『正義の喪失―反時代的考察』(1999年)第三章「われわれの正義はどこに?」引用 九月十一日の朝、世界貿易センタービルに吸ひ込まれていつた機影は、そんなわれわれにむかつて、かう問ひ残していつた――「われわれはいま、アメリカを処罰する。君たちはどうするのか?」 この問ひかけから、われわれは必死になつて耳をふさがうとする。「彼らは単なる狂信者であり、憎むべきテロリストである」と或る者は言ふ。また或る者は、「いや彼らは気の毒な被圧迫者なのである」と言ふ。しかし、いくらさうやつて耳をふさがうとしても、「居心地の悪い気持ち」はわれわれの心を去らない。「これまで考へたことなど無意味で、実は何も考へなかったのではないか?」という声が、心のどこかから呟きつづけるのである。 もしもわれわれが本当に「思想の力」といふものを信ずるならば、われわれはまづ真正面から、われわれが避けてきた事実に向き合わね
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