日本古来の正月の祝い方、など近年「伝統」を枕詞に、その良さを見つめ直そうという訴えかけが目立つ。評論家の呉智英氏は、彼らが言う伝統とは、本当は“現代の流行”であることが多く、本来の意味を理解していないことが多いと指摘する。呉氏が、誤った伝統理解による保守主義に対して疑義を提示する。 * * * 近年保守派・保守主義が優勢になっているらしい。何を「保守」すべきかといえば、まず伝統だろう。しかし、伝統の意味を誤解していては話にならないし、昨日今日の流行を伝統だと思い込んでいては大恥だろう。ところが、現実にはそういう論者が多いのだ。 保守系紙産経新聞に裏千家前家元の千玄室がコラムを連載している。一月十三日付では子供論・教育論を語っているのだが、これが何とも奇妙である。 最近小学校の“騒音”への苦情が多いが、「本来子供は元気に走り回り声を出すものだ」とし、万葉歌人山上憶良の「銀も金も玉も何せむにま