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  • [7]江戸時代に読まれた一寸法師 ~一寸法師、姫君を嵌める~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    御伽草子. 第19冊 (一寸法師) - 国立国会図書館デジタルコレクション ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 【原文】 「誠は偽りならず。 斯《か》ゝる者を都に置きて何《なに》かせん。 如何《いか》にも失ふべし」 とて、一寸法師に仰《おほ》せ付けらるゝ。 一寸法師申しけるハ、 「私《わらハ》が物を取らせ給ひて候ふ程《ほど》に、『兎《と》に角にも計らへ候へ』とありける」 とて、心の内に嬉しく思ふ事、限り無し。 姫君ハ只夢の心地して、呆れ果ゝてぞ御座《おハ》しける。 一寸法師、 「疾《と》く/\」 と勧め申せば、闇へ遠く行く風情にて、都を出て、足に任せて歩み給ふ。 【現代語訳】 「しっかり証拠があるから、言い逃れはできませんなあ。 こんな者を都に置いておけません。 どこへでもやっておしまいなはれ」 と、宰相殿は一寸法師に申し付けました。 一寸法

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    ot_nail 2022/10/12
  • [2]江戸時代に読まれた一寸法師 ~一寸法師の身長3センチ?~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    [1]江戸時代に読まれた一寸法師 ~一寸法師誕生~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~ 大阪出身の一寸法師・・・せっかくですので今後の現代語訳の話し言葉は先生のエセ大阪弁でお願いしたいですわ!まあ、名古屋弁でもいいですけども (゚∀゚) 2022/10/02 12:44 b.hatena.ne.jp というわけで、リクエストにお応えして、大阪とは何の縁もゆかりも無い私ですが、想像力を駆使して(笑)エセ大阪弁で現代語訳のセリフを書くことにします(笑) ちゃんとした訳をお望みの方は、たぶんどなたかがやっておられると思うので、検索すれば見つかるはずです(笑) ふと、とあるに執筆した際、編集方針でセリフが私の意図せぬ所で、全て関西弁に書き換えられて、非常に憤慨したことを思い出しました(笑) 気楽に江戸奇談! RE:STORY 井原西鶴 笠間書院 Amazon 御伽草

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    ot_nail 2022/10/04
  • 16-赤本再興〇花咲き爺(花咲かじいさん) ~江戸時代の絵本~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『赤再興《あかほんさいこう》〇花咲き爺《じじ》』[式亭三馬補綴、歌川国丸画、文化九(一八一二)年刊] ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 赤花さき爺 - 国立国会図書館デジタルコレクション 花咲ぢゝ 3巻 鰻谷劇場条書 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】 ①斯《か》くて福犬ハ家の守護神に祝ひて、社《やしろ》を作りて、鎮座しける、 正直夫婦、天の恵ミにて、有徳《うとく》の身となり、「富みて驕《おご》らず貪《むさぼら》らず」の道理に適《かな》い、 ②良き子を貰ひて家内安楽にぞ暮らしける。 ③めでたし/\/\ 【現代語訳】 こうして福犬は、家の守護神として、お社を作って祀《まつ》られました。 正直夫婦は、天の恵みによって裕福な身となり、「裕福になっても調子に乗らず、ガツガツしない」という、人としてあるべき道徳がそなわっている

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    ot_nail 2022/09/11
  • 11-赤本再興〇花咲き爺(花咲かじいさん) ~江戸時代の絵本~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『赤再興《あかほんさいこう》〇花咲き爺《じじ》』[式亭三馬補綴、歌川国丸画、文化九(一八一二)年刊] ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 赤花さき爺 - 国立国会図書館デジタルコレクション 花咲ぢゝ 3巻 鰻谷劇場条書 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】 ①慳貪爺《けんどんぢゞ》ハ、隣の正直爺が赤地の錦を貰ひたるを羨《うらや》ミ、「我も花咲き爺と成りて、褒美《ほうび》を貰ハん」とて、頭巾、袖無し羽織を着て、正直爺が形を写し、出《い》で行く。 ②「此方《こなた》も赤地の錦を着て御座《ござ》れ。早く戻りを待ちます」 ③「隣の爺めハ、兎角《とかく》色/\な物を貰ふ奴ぢや」 ④慳貪爺、同じく枯れ木に登り居《ゐ》る所へ、殿様御通りにて、「噂に聞きし花咲き爺、枯れ木に花を咲かせよ」と有りければ、「心得て候」と、灰一ト掴《つか》ミ撒

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    ot_nail 2022/08/27
  • 6-赤本再興〇花咲き爺(花咲かじいさん) ~江戸時代の絵本~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    『赤再興《あかほんさいこう》〇花咲き爺《じじ》』[式亭三馬補綴、歌川国丸画、文化九(一八一二)年刊] ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 赤花さき爺 - 国立国会図書館デジタルコレクション 花咲ぢゝ 3巻 鰻谷劇場条書 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】 ①福犬ハ、或る夜、枕上《まくらがミ》に立ちて、正直爺《しやうぢきぢゞ》、正直婆《しやうぢきばゞ》に一礼《いちれい》を述ぶる。 ②「只今迄《たゞいままで》の御厚恩《ごかうおん》、有難《ありがた》う御座《ござ》ります。此の末共《すゑとも》、守りますから、御安堵《ごあんど》なされませ」 ③「私《わたくし》の埋められた所の松の大木を切つて、臼《うす》に拵《こしら》へ給へ」と教ゆる。 ④白粉《おしろい》の良く乗る薬 江戸の水 四十八文 㐧一、肌理《きめ》を細かにし、御顔《おかほ

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    ot_nail 2022/08/08
  • 1-赤本再興〇花咲き爺(花咲かじいさん) ~江戸時代の絵本~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    「定番の昔話が江戸時代にはどう書かれていたか?」シリーズヾ(๑╹◡╹)ノ" 今回は、「花咲かじいさん」です。 「花咲かじいさん」は人気があったお話のようで、江戸時代にはいくつかの作品が出版されています。 その中で、制作のコンセプトが興味深かった『赤再興《あかほんさいこう》〇花咲き爺《じじ》』[式亭三馬補綴、歌川国丸画、文化九(一八一二)年刊]を、ここでは取り上げたいと思います。 ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 赤花さき爺 - 国立国会図書館デジタルコレクション 花咲ぢゝ 3巻 鰻谷劇場条書 3巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】 伏稟《ふくひん》 先年、私、工夫《くふう》を以て、繪草紙合巻《ゑさうしがふくわん》と申す、仕立形《したてかた》を新たに制作《せいさく》仕《つかまつり》り候《さうら》ふ所、御子様方 御贔負《ごひ

    1-赤本再興〇花咲き爺(花咲かじいさん) ~江戸時代の絵本~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
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    ot_nail 2022/07/20
  • ぶんぶく茶釜② ~江戸時代の絵本~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    ※この記事では、国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 ぶんぶくちやがま - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】 たる所を、ぶんぶくハ「良き慰ミ」と飛んで下り、やがて狐と引き組ミ、難無く生け取り、我が部屋に来たりける折節、友の坊主立《ぼうずたち》、 「是ハ良き物を捕らへ召さつた。いざ、料《りやう》らん」 と俎板《まないた》の上に直しけり。 無惨や狐わ、 「此処《こゝ》こそ一世の命尽く、然《さ》あらバ、此処を逃げん」 と思へど、四足《しそく》を括《くく》られ、逃ぐる事成り難く、空死《そらじ》にをぞしたりける。 それとハ知らず、坊主立、 「いざや彼奴《きやつ》めが生き肝《ゞも》を取らん」 と言ふ。 ふくさいわ、「尻尾《しりを》が望ミ」と言ふ。 思ひ/\に狐一疋を四人の主付《ぬしづ》き、既に危うく見へし時、 「時分は此処よ」 と跳ね起き、知らせの屁を放《ひ》

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    ot_nail 2022/06/10
  • 定番の昔話が江戸時代にはどう書かれていたか? 【まとめリンク】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    「定番の昔話が江戸時代にはどう書かれていたか?」シリーズヾ(๑╹◡╹)ノ" これまでに以下の作品を取り上げましたヾ(๑╹◡╹)ノ" 更新が停滞中なので、まだお読みでない方は、今のうちにwぜひご覧くださいませヾ(๑╹◡╹)ノ" 桃太郎 kihiminhamame.hatenablog.com 浦島太郎 kihiminhamame.hatenablog.com 金太郎 kihiminhamame.hatenablog.com 三年寝太郎 kihiminhamame.hatenablog.com 猿蟹合戦 kihiminhamame.hatenablog.com カチカチ山 kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com 舌切り雀 kihiminhamame.hatenablog.com このシリーズを再開しようかなと思ったので

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    ot_nail 2022/05/15
  • 一つ目の御隠居 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    前回は三つ目だったから、今回は負けずに一つ目だよ!ヾ(๑╹◡╹)ノ" 年中行状記 : 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション 『化物年中行状記』(十返舎一九作画、寛政八[1796]年刊、黄表紙) ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 【原文】 古《いにしへ》、千年 年古《としふ》る狐が、乱菊《らんぎく》の下《もと》に遊ぶと言ふ故事《こじ》[白居易『凶宅詩』によるか]にて、九月にハ、菊を愛し、命の長きを喜ぶ事、人間界に変わる事無し。 「皿屋敷の菊がとんだ評判で御座ります」 「今年は、各別、儂《わし》が世話をしたので、菊が見事に咲いた。和尚に見せたひ」 【現代語訳】 昔、千年生きたキツネが、菊が咲き乱れる所で遊んだという故事によって、九月には菊を愛し、命が長い事を喜ぶ行事[重陽の節句]が人間界にはありますが、同じように化け物の世界でも変わら

    一つ目の御隠居 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
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    ot_nail 2022/04/11
  • ⑥『男色子鑑』4-1「縁は朽ちせぬ二世の契り」 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    続きです、鹿之助の三回忌を終えると、佐左衛門は高野山を下ります。 下の方に現代語訳と解説がありますヾ(๑╹◡╹)ノ" ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 男色子鑑 5巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション 【原文】 明け暮れ念仏 怠《をこた》らず、三囬忌《さんくわいき》の吊《とぶら》ひして、夫《そ》れより高野山を立ち出で、何処《いずく》とも無く惑ひ歩《あり》き、遙《はる》かに年隔《としへだ》て、近江の国 信楽《しがらき》と云ふ所、村にても何がしと見えし家に宿借りしが、亭主は六十に近き男、所柄とて、花色小紋の袷《あはせ》、同じ小紋の丸頭巾《まるづきん》、確か袷の切れと札《ふだ》付けぬばかり、口には言はねど可笑《おか》し。 納戸《なんど》の方に息子と見えて、十二三なる少人、机《つくえ》に掛ゝりて手習ひするに、其の手跡《しゅせき》の美しさ、「

    ⑥『男色子鑑』4-1「縁は朽ちせぬ二世の契り」 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
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    ot_nail 2022/03/20
  • 鶴字法度!その時、井原西鶴は? - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    今回も小ネタをヾ(๑╹◡╹)ノ" 徳川綱吉といえば天下の悪法(最近は評価が変わってきています)の生類憐みの令を出したことで有名ですが、綱吉の悪法には鶴字法度《かくじはっと》というものもあります。 鶴字法度とは、貞享五(一六八八)年に出された、綱吉が娘の鶴姫を溺愛するあまり、庶民が名前に「鶴」の字を使う事を禁じた法令です。 このブログによく登場する浮世草子作家井原西鶴は綱吉と同時代の人です。 はい、思いっきり名前に「鶴」を使ってしまっています。 さて、鶴字法度が出されてしまい、西鶴はどうしたでしょうか? シンキングタイム!!! 正解は、どん! 新可笑記 5巻. [1] - 国立国会図書館デジタルコレクション 『新可笑記』[元祿元(一六八八)年刊]より 「西鵬《さいほう》」に改名したでしたヾ(๑╹◡╹)ノ" ただ、元禄五(一六九二)年刊の『世間胸算用』では、名前がもう西鶴に戻っているので、鶴字

    鶴字法度!その時、井原西鶴は? - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
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    ot_nail 2022/03/05
  • 湯島天神① ~『金草鞋』初編中巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    はい、『金草鞋』、再開ですヾ(๑╹◡╹)ノ" 【左右ページ全体】 【右ページ詳細】 ※この記事では国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜改変して使用しています。 金草鞋. 1編 - 国立国会図書館デジタルコレクション 諸国道中金の草鞋. 1 - 国立国会図書館デジタルコレクション ※画像は拡大できます。 ※落書きが酷かったので、可能な限り修正しています。 【原文】 神田の明神の裏門より出て、左の方《かた》、恋坂《つまごひざか》を上りて、真っ直ぐに、湯島の天神へ参詣する。 此の所も、市中一面に見下ろし、隅田川《すミだがは》を向かふに眺めて、風景また言わん方《かた》無し。 狂「賽銭《さいセん》を 上げねば 時平《じへい》奴《やつ》だァと 天神《てんじん》様が 腹サ立つべい」 「今朝から、はあ、膝株《ひざかぶ》のしヤくり/\する程歩いたんべいが、このの内じヤ、まだ作者めが何《あに》も

    湯島天神① ~『金草鞋』初編中巻~ - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
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    ot_nail 2022/01/07
  • まとめ『浦島太郎』 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    このブログは、ほんのちょっとだけ充電期間に入ります(๑╹◡╹)ノ" なので、次のシリーズが始まるまで、過去に取り上げた作品をご覧になってお待ちくださいヾ(๑╹◡╹)ノ" 今回は検索からご覧になってくださる方が多い『浦島太郎』のまとめ読み用リンクをどうぞ ヾ(๑╹◡╹)ノ" 一話の分量はそれほど多くないので、まとめてだと案外すぐ読めちゃいますよヾ(๑╹◡╹)ノ" kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.hatenablog.com kihiminhamame.h

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    ot_nail 2021/12/06
  • 二十七日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (部屋が曇って闇のようになる) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿七日の昼の頃、居間の内、曇るが如くにて、次㐧/\に闇の如くなりしが、程無く赤く成りて、輝く様《やう》になりぬ。 後は直物《ひたもの》黒白打ち変わりて、目眩《めくるめ》く様《さま》に覚えしと也。 夜に入りてハ、門の内、拍子木の音聞こえ、又は、蚊帳《かや》の内に、女の声聞こえける。 然《さ》れども、全て形は無し。 【現代語訳】 七月二十七日の昼頃、居間の中が曇ったようになり、徐々に闇のようになりましたが、すぐに赤くなって、輝いているようになりました。 それから、ひたすら、暗くなったり、明るくなったりして、平太郎は目がチカチカしました。 夜になると、門の中で拍子木の音が聞こえ、また、蚊帳《

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    ot_nail 2021/11/20
  • 十九日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (屋根に上げられた罠) ※この挿絵では、木に上げられている。 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 十九日には、皆/\寄り合ひて、穢多《ゑた》の十兵衛と言へる者に、申し含め、彼が家に傳へし良き罠《わな》有れば、是を以《も》て、此の夜ハ罠を掛けさせける。 然るに、化け物更に掛ゝりもせで、夜もすがら化け物共、罠を嬲《なぶ》り者にし、剰《あまつさ》へ隠れ居たりける十兵衛が鼻を摘《つま》みける。 元より斯様《かやう》な事には出合ひし十兵衛なるに、何と無く恐ろしくて、隠れ居る事もなり難く、平太郎に暇を乞ひ、帰り、然れども、「良き罠なれバ、もしや変化の掛ゝりもやしつらん」と夜明けて後、見に来たり、平太郎に尋ねしに、化け物は掛ゝりもせで、巧みに仕掛け置きし罠を取り出し

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    ot_nail 2021/11/07
  • 十一日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (勝手に動き出す、すり鉢とすりこ木) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 明くる十一日の夜は、一族の者、咄《はなし》に来たりけるが、一人の刀の鞘《さや》を化け物に隠され、皆〻尋ねし處に、更に見へず。 平太郎、やがて其の事を高く云ひて怒りけれバ、鞘、天井より落ちにける。 「実に化け物も平太郎にハ恐るゝなるべし」と申しける。 扨、鞘を得て後ハ、何《いず》れも喜び帰りしに、跡にて臺所の方に擂鉢《すりばち》、擂粉木《すりこぎ》、我と我が出でゝ、擂り廻り/\、間の内を廻りけるとぞ。 是は又、珎《めず》ら敷《しく》、可笑《おか》しき事にこそ。 【現代語訳】 翌、七月十一日は、親戚の人たちが話しにやって来たのですが、一人の刀の鞘《さや》を化け物に隠され、みんなで探し

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    ot_nail 2021/10/29
  • 四日目『稲生平太郎妖怪記』(『稲生物怪録』) - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    (舞い散る鼻紙) 新日古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 四日の夜は、水瓶《みずがめ》に入れ置きし水凍り、又ハ茶釜《ちゃがま》の蓋《ふた》開き難《がた》く、火吹竹《ひふきだけ》吹きても風通わざりける。 斯様《かよう》の怪しき事、品/\有りしが、後は違ひ棚に置きし鼻帋《はながミ》、次㐧/\に一枚ヅヽ散り上がりて、蝶の飛ぶ様《やう》に見えしとぞ。 是《これ》などハ明くる日も散りて有りしまゝにて、その跡のまざ/\と残りて有りハ夢とも覚えず、確かなる事どもなりける。 【現代語訳】 七月四日の夜は、水瓶《みずがめ》に入れておいた水が凍り、茶釜《ちゃがま》の蓋が開かず、火吹竹《ひふきだけ》を吹いても息が通りませんでした。 このような怪奇現象が色々ありましたが、最後は違

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    ot_nail 2021/10/21
  • 2-豆腐小僧 ~『夭怪着到牒』~【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    豆腐小僧の画像として一番よく引用されるのが、『夭怪着到牒《ばけものちゃくとうちょう》』(北尾政美画、天明八(1788)年刊)の挿絵のものです。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 夭怪着到牒 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション(3ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 化け物ゝ親玉見越入道現れ、手下の化け共を呼び出だす。 入道の孫、大頭小僧、雨のそぼ降る夜、豆腐屋を脅かし、一丁占めてくる。 【現代語訳】 化け物の親玉見越入道が現れ、手下の化け物どもを呼び出します。 見越入道の孫の大頭小僧は、雨がしとしと降る夜、豆腐屋を脅かし、豆腐を一丁奪ってきます。 【解説】 実は、ここでは豆腐小僧と言う名称は一切出てこず、描かれている妖怪はあくまでも大頭小僧とされてるんですよね。 というわけで、何だかよく分からなくなってきたので、次

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    ot_nail 2021/09/29
  • 9-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回までのあらすじ】 越後の大入道の跡を継いだ今入道は、親から貰った目をくりぬいて愛の証として毛女郎に渡してしまいます。 丹後のヒヒは、今入道に養子の見越入道が恥をかかされたのに腹を立て、このことにつけこんで今入道を散々罵った挙げ句、毛女郎を揚げ詰めにしてしまうのでした。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (10ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 情けなや、今入道ハ狒《ひ》ゝが計らひにて、竹の小笠を被セられ、丸盆に豆腐を乗セて手に持たせ、廓《くるハ》の若い者に言ゝ付け、化けの里出口の柳の下へ追ひ出だされける。 「きり/\、消へてしまへ/\」 「早くどこぞへ行つて、子供でも脅かセやい」 「己《うぬ》が様《ざま》を見をれ、やつぱり元のちよろけん小僧だ。 ホンニ、惨《

    9-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
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    ot_nail 2021/09/17
  • 3-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~

    【前回のあらすじ】 大入道の息子の一つ目小僧は、大入道から片目を与えられて二つ目になり、家督を譲られ、諸国化け修行に出たのですが。。。 ※この記事では、国立国会図書館デジタルコレクションの画像を適宜加工して使用しています。 大昔化物双紙 2巻 - 国立国会図書館デジタルコレクション (5ページ目です) ※画像は拡大できます。 【原文】 丹波の山奥に狒々《ひゝ》と言ふ者有りて、良く人を悩まし、猪《しゝ》・狼《おゝかめ》を取り喰らひ、山を荒らしけれバ、里人これが為に悩まぬ者無し。 丹波の国の化け物大将と言ふ。 然るに、狒々が一子を山童《やまワらう》と言へり。 されども山童は化け物大将となるべき働きなけれバ、狒々 詮方《せんかた》無く、見越入道《ミこしにうだう》と言へる者を子分に頼ミ申しけるハ、 「此の度、越後の国大入道が倅《せがれ》一ッ目小僧、世を取って今入道と言へり。 彼、化け修行に出でたる

    3-大昔化物双紙【再読】 - うきよのおはなし~江戸文学が崩し字と共に楽しく読めるブログ~
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    ot_nail 2021/09/09