2.1 背景 科学技術データに関して,流通するデータの量は飛躍的に増加し,多様化し,迅速な処理が要求されている。その結果,データに関する研究活動が大きく拡大し,学術分野だけでなく,経済,社会,政治等からも大きな期待を集めるようになった。しかし,科学技術データの多くは,活用されないまま棄却されてきたという現実がある。そのため,科学技術データの生産,蓄積,共有と活用に関する活動を,オープンデータの権利と義務といった原則論と,実践論としてデータに関係するさまざまな者が連携しデータを共有するための新たな方法を検討する必要がある。 2.2 現状と問題点 これまでの科学技術データの共有や活用は,基礎科学技術分野のように,データベースを組織的に構築しやすい分野に焦点が当てられてきた。一方,防災においては,安全などデータモデルが容易に標準化できない分野についても,データの共有や活用についての議論が盛んにな