▲鈴木 努さんの梨のサービングスプーン(角)。現在リビング・モティーフにて開催中の「日本の道具展 3」で個人的にヒットだったのは梨のこの色艶。 場数、という言葉がある。 人は、初めて見たモノを、そのモノを見るだけでなく、瞬間的に過去に使ったり、触ったモノと比較している。感覚の良し悪しもあるが、場数を踏んだ人は比較の分母数が多いから、そのモノがどんなものかを瞬時に判断することができるのだと思う。わたしもそこそこ、モノはみている方だが、最初に、鈴木 努さんのサーバーやカトラリーを触った時、「何で仕上げたのか?」が、とんと判らなかった。 このようなツルツルとしたなめらかさは今まで感じたことがない。触りながら、自分の頭の中にある記憶と重ね合わせる。白木(無塗装)、オイル仕上げ、ウレタン仕上げ。大体その三択だが、どれにも当てはまらない。ウレタンを塗ったような「膜」は感じられないし、「オイル」のような