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ブックマーク / www.brh.co.jp (6)

  • RESEARCH 生きた膜を支える脂質の分子運動

    1.細胞膜を動く脂質分子 1972年にシンガーとニコルソンが発表した生体膜の流動モザイクモデル(註1)は、それまでの細胞膜の静的なイメージを一新した。そのモデルは、細胞の内と外を隔てているだけと思われてきた膜が、実は脂質分子が集合した非常にやわらかい二分子膜構造であり、膜を構成する脂質分子は活発に動き回っているというものであった。そこで、脂質二分子膜内に浮かぶように存在しているタンパク質などの機能分子が、流動的な膜の中でどのようにはたらき、制御されているかを解明することが膜の理解につながるとして活発に進められてきた。 ところが、膜を構成する主要物質である脂質分子については、生体膜内を流動はするものの、特に生理機能は持たないという見方が続いていた。確かに脂質は、酵素などと異なり、分子一つで特定のはたらきを担うことはほとんどない。しかしこれだけの流動性が機能につながらないはずはないと考え、脂質

    RESEARCH 生きた膜を支える脂質の分子運動
  • Research ゲノムインプリンティングとホ乳類の進化

    RESEARCH ゲノムインプリンティングとホ乳類の進化 石野史敏東京医科歯科大学難治療疾患研究所エピジェネティクス分野 生物がこれだけ多様であるのに、全ての生きものがもつ遺伝情報システムが共通していることは、進化が実際に起きたことを示す最大の証拠だろう。しかし、“どのように進化が起きたか”、すなわち進化の機構を科学で証明するのは難しい。歴史性のある一回性の現象(宇宙の起源等も同じ)を扱うには、従来の科学がもつ“実験による再現性を基にした枠組み”とは別の思考の枠組みが必要とされるのである。ここで、“生物のもつゲノムのはたらき、つまり機能がその生物を特徴づけている”という考え方をするなら、“進化は新しいゲノム機能の獲得によって起きる”という進化に対する新しいアプローチが見えてくる。すなわち、ある一群の生物に特徴的に見られるゲノム機能がどのように獲得されたかを知ることが、進化機構を知る上での鍵

    Research ゲノムインプリンティングとホ乳類の進化
  • Research ─ 研究を通して ─:ゲノムインプリンティング-世代に刻みこまれる時 - JT生命誌研究館

    生物にとっての「時」 生物で「時」と言えば、その一つは親から子へ、子から孫へとつながっていく時の流れだろう。今ではそこにゲノム(DNA)を通して実際のつながりがあることがわかり、自分の体の中に生命の歴史が刻みこまれているという実感がもてるようになった。この生命の流れの中で誕生した興味深いしくみが“性”である。(関連記事:生命誌24号「雄と雌が決まる仕組み」)性の存在によって唯一無二の個体が存在することになったのだ。ところで最近、体細胞からクローン動物(ここでは後述する理由で哺乳動物について考える)が誕生し、性がなくても個体は誕生するという事実をつきつけられた。性にはどのような意味があるのか。親から子へとつながるとはどういうことか。改めて考えることが求められている。 クローンのもつゲノムは クローン羊ドリーは、乳腺細胞の核を無核の未受精卵に入れてできた細胞を出発点として生まれた。このように移

    Research ─ 研究を通して ─:ゲノムインプリンティング-世代に刻みこまれる時 - JT生命誌研究館
  • RESEARCH 4億年もRNAを書き換え続けてきた意味

    RESEARCH 4億年もRNAを 書き換え続けてきた意味 由良 敬お茶の水女子大学 陸上植物のオルガネラ(ミトコンドリアと葉緑体)のDNAからつくり出されるタンパク質のアミノ酸配列は、DNAから推定される配列と異なることがあります。DNAからRNAへと転写された後に、特定の塩基だけを書き換えるのです。これをRNA編集と呼びます。DNAを書き換えれば一度ですむはずなのに、タンパク質をつくるたびにRNAを書き換える意味は何なのでしょうか。 1.植物オルガネラの奇妙な現象から発見されたRNA編集 1980年代後半から、陸上植物の研究者は葉緑体やミトコンドリアなどの細胞小器官(オルガネラ)がもつ遺伝子発現の際に起きている妙なことに気がついていた。オルガネラのDNAとRNAの塩基配列にい違いがあり、それぞれから推定できるタンパク質のアミノ酸配列が異なっているのである。最初は実験上の誤りだと思われ

    RESEARCH 4億年もRNAを書き換え続けてきた意味
  • 【真核生物誕生の謎】

    よく知られているように、真核生物の細胞は、原核生物、すなわち、真正細菌と古細菌の細胞に比べて複雑な構造をしている。細胞内には発達した内膜系があり、核をはじめとしてさまざまな小器官が存在している。とりわけ核の存在は特徴的で、核を持たない原核細胞と核を持つ真核細胞の違いは今日の地球上に認められる唯一最大の進化的不連続であると、1937年エドアール・シャトンは指摘している。こうした複雑な真核細胞はどのように進化したのかということについては、現在のところほとんど理解されていない。 こうした複雑な構造を持つ真核細胞への進化にとって細胞壁の消失が重要なイベントであったと指摘する人がいる。1974年度ノーベル医学・生理学賞受賞者クリスチャン・ド・デュープはその一人である。原核生物の多くは細胞壁を持っていて、それは構造の支持と傷害の保護に重要な役割を果たしている。真核生物の祖先は進化の過程でその細胞壁を捨

    【真核生物誕生の謎】
  • 210731 顧問室の窓 タンパク質の構造予測[1]

    革命:タンパク質の立体構造が計算だけでわかる 私が生きている間は実現するまい、と思っていた夢のような科学の発見が最近、発表された。 地球の生命は、遺伝情報の伝達やコピーには DNA(RNA)を採用し、個体の活動にはタンパ ク質を採用している。DNA は、4種のヌクレオチドという単位分子があれこれの順番で直鎖 状につながって意味のある文章の役割を果たす分子である。分岐や枝がない文字列は、コピー や操作が簡単なのである(パソコンと同じ)。DNA の情報をもとに合成されるのは20種のアミノ酸があ れこれの順番で直鎖状につながったポリペプチドのヒ モである。ここまでは、1次元(1D)のヒモの世界で ある。ヒモのままではなにもできない、情報はあれど も機能・行動がない。そこでポリペプチドのヒモは誰 の助けも借りずに、みずから、曲がりくねり折りたた み(folding)、複雑な 3D 立体構造を形成す

    otori334
    otori334 2021/09/05
    タンパク質の立体構造が計算だけでわかる 本当の「タンパク質工学」の始まり
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