当時、タイプライターのセールスマンが客の前で「タイプライター」と簡単に打ち込めるよう一行目のアルファベットは並べ替えると「TYPEWRITER」となるようになっている。 というガセネタを平気で騙る人たちは、当時のタイプライターのセールスマンのことを全く知らないのだろう。現実には、1870~1880年代のタイプライターのセールスは、電信会社や速記学校などへの持ち込みとデモンストレーションによって成り立っており、かなりシビアなものだった。実際のセールスマンの様子を、Edward Payson PorterとJames Densmoreが、Western Union Telegraph社の総支配人Anson Stager(陸軍大佐で北軍の電信における総責任者だった)のところにセールスに行った記録から、以下に抄訳してみることにする。 ステイガーのオフィスは、シカゴのウェスタン・ユニオン・テレグラフ