ロサンゼルス五輪の開会式で聖火台近くの高台から飛び出し、フィールドに舞い降りたロケットマン。ロス五輪以降、五輪の商業化路線は加速した=米ロサンゼルスのメモリアル・コロシアムで1984年7月28日 「五輪は世界を映す鏡」といわれる。世界各国・地域から集まったアスリートが人種や性別、性的指向、宗教、政治信条などあらゆる違いを受け入れ、認め合い、競技を通じて交流を深める。平和の祭典と呼ばれるゆえんだ。しかし、パンデミック(感染症の世界的大流行)で格差が広がる中、国際オリンピック委員会(IOC)は資本の論理を優先して五輪開催へ突き進む。その姿こそ世界の現実ではないかと思えてくる。 米パシフィック大のジュールズ・ボイコフ教授(政治学)は近著「オリンピック 反対する側の論理」で、「五輪は清算の時を迎えた。東京大会の延期は、五輪が現在のような形で存在すべきかどうかを見極める空間を生み出した」と指摘する。