北京オリンピックのフェンシングのフルーレで、史上初めて銀メダルを獲得した太田雄貴選手にインタヴューするテレビ番組を見た。このような超一流のアスリートの話を聞くのは、たいてい非常に興味深いものだが、太田選手には特に好感が持てる。 超一流アスリートはたいてい、マスコミの注目の的になる。しかし彼らは自分の地位を、ほとんど自分の力で築き上げるものであり、政治家と違って、彼らがマスコミから得る利益はほとんどない。むしろ、それは彼らを厄介な問題に巻き込むのが常であろう。時代の寵児として取り扱うかと思えば、打って変わってマスコミのバッシングの的になる例もまれではない。だから彼らは、たいてい何らかの仮面で偽装せざるを得ないものである。 マラソンで国民的アイドルになった高橋尚子選手などは、痛々しいまでににこやかな明るさを常に演技しているが、自分の弱点や気弱さを気取られないようにし続けるのも、大変な心労である