高層ビルの上層階にある三菱商事のヤンゴン駐在事務所からは、この街の様子を一望することができる。 この事務所は何十年もの間、日本人の駐在員1人にミャンマー人スタッフが数人いるだけのこぢんまりとした前線基地だった。黒ごまをはじめとするコモディティー(商品)の輸出や、食品、鉄鋼、機械などの取引がその主な仕事だった。 三菱商事は日本のほかの商社と同様に、軍事クーデターが生じたり西側からの経済制裁を受けたりしている間もミャンマーの可能性を信じて疑わなかった。ほかの外国人投資家が次々に手を引く中でも踏みとどまった。 そして今、ヤンゴン駐在の日本人スタッフを7人に増やし、現地スタッフの数も約30人に増強した同社は、これまでの辛抱がもうすぐ報われると考えている。 タッグを組む大手商社 三菱の力の入れ方を最も明確に示したのが、今年9月のネピドー駐在事務所の開設だった。ネピドーはミャンマーの首都で、ヤンゴンの