経済学的に考えたときに、組織運営にとって肝要なことは、(1)組織の個々の構成員に適切な誘因(incentive)を与えることと、(2)構成員それぞれの行動が互いに整合的なものとなるように調整(coordination)をうまく行うことの2点であるといえる。まずは、皆に「やる気」を起こしてもらう必要がある。このために(1)が必要になるが、この課題が達成できただけでは十分ではない。 皆がやる気を出していても、それだけでは、それらが空回りするだけで終わりかねない。そうならないためには、各構成員の行動が相互にかみ合ったものになるように調整されなければならない。そうした相互調整が可能になるためには、その前提として構成員間での情報伝達・コミュニケーションが不可欠となる。特定の情報は関連した部署において「分散的に保有」されているのが一般的だからである。 人間の認知能力には限界があるので、ある程度以上の規
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