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ブックマーク / himaginary.hatenablog.com (18)

  • ブランシャールが懸念していること、していないこと - himaginary’s diary

    ブランシャールが日の財政危機の危険性を訴えたテレグラフ記事が、池田信夫氏がブログで取り上げたことで改めて話題になっているので、以下に該当部分を引用してみる。 Olivier Blanchard, former chief economist at the International Monetary Fund, said zero interest rates have disguised the underlying danger posed by Japan’s public debt, likely to reach 250pc of GDP this year and spiralling upwards on an unsustainable trajectory. “To our surprise, Japanese retirees have been willing to

    ブランシャールが懸念していること、していないこと - himaginary’s diary
  • 紙幣の廃止の帰結? - himaginary’s diary

    以前、ソマリアで国家が崩壊した後も紙幣が流通し続けたエピソードを紹介したことがあったが、似たようなエピソードをTony Yatesが紹介している。 Recall the example of Kurdish controlled Iraq when NATO was enforcing the no-fly-zone, and before toppling Saddam. Saddam tried to debase and then abolish the cash circulating in the Kurdish zone. But even with no central bank, formal government, or even legal system, these notes held their value anyway. That could have been

    紙幣の廃止の帰結? - himaginary’s diary
  • 現代経済における貨幣創造 - himaginary’s diary

    と題されたイングランド銀行の3人の研究者(Michael McLeay、Amar Radia、Ryland Thomas)による論文(原題は「Money creation in the modern economy」)が市場マネタリスト周辺で議論を呼んでいる。 特に論議を呼んだのは、この論文がQEについて論じた部分である。そのテーマについて同論文は、概ね以下のような解説を展開している。 QEで中央銀行は、主に年金基金や保険会社のような非銀行金融会社から国債を購入する。 取引額からして、中央銀行が紙幣を刷って直接年金基金と取引するのは非現実的。従って、電子取引をすることになるが、年金基金は中央銀行に準備預金を持っていない。そこで、商業銀行に仲介してもらうことになる。それを図示すると以下のようになる。 図の各主体のバランスシートの動きは次の通り: 年金基金:国債と引き換えに年金基金の銀行口座に

    現代経済における貨幣創造 - himaginary’s diary
  • 2014年の三大マクロ経済問題 - himaginary’s diary

    についてGavyn Daviesが書いている。このうちの少なくとも一つは2014年以降の重大なマクロ経済問題になるだろう、と彼は予言している。 FRBはいつ米国の供給制約を気にするようになるか? これまでの主要な懸念は、GDPの1.5%に相当する2013年の財政緊縮を受けた需要不足問題だった。しかし2014年にはその値が0.4%にまで縮小する半面、GDP成長率は3%を超えるとされている。その成長率はCBOの推計する潜在成長率2%を大きく上回っている。 多くの経済学者は、失業者の早期引退や低調な設備投資といった景気後退の副作用によって、潜在生産力は少なくとも一時的には低下したと考えている。実際、総需要と総供給の区別は曖昧になってきている。 クルーグマンのようなケインジアンは、総需要と総供給の区別は今も重要であり、潜在生産力は今後大きく高まる、と主張する。 CBOの推計によれば、潜在GDPは実

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  • 政治家がスポーツのビッグイベントを招致したがるわけ - himaginary’s diary

    について研究した論文をEconomic Logicが紹介している。論文の原題は「The bidding paradox: why economists, consultants and politicians disagree on the economic effects of mega sports events but might agree on their attractiveness」で、著者はユトレヒト大学のMarcel van den Bergaとアムステルダム応用科学大学のMichiel de Nooijb。 以下はその結論部。 In this paper we discussed possible reasons why politicians still support bidding for a mega sports event even though econo

    政治家がスポーツのビッグイベントを招致したがるわけ - himaginary’s diary
  • オーストリア学派はなぜ学術誌から冷遇されているのか? - himaginary’s diary

    について論じた論文(WPはここ)をUDADISIが紹介している。論文のタイトルは「Understanding Academic Journal Market Failure: The Case of Austrian Economics」で、著者はScott Alex Beaulier(マーサー大学)とJ. Robert Subrick(ジェームズマディソン大学)。 以下はWPの結論部。 The failure of Austrian economics to penetrate mainstream journals arises from two factors. The first is that Austrian-oriented economists tend to focus on topics that mainstream journal editors do not. T

    オーストリア学派はなぜ学術誌から冷遇されているのか? - himaginary’s diary
  • コント:ポール君とグレッグ君(2013年第4弾) - himaginary’s diary

    久々にクルーグマンがマンキューに正面から仕掛けた*1。 ポール君 グレッグ君の1%擁護論文には多くの人がコメントしたが、僕も言っておきたいことがある。 その前にこれまでの議論の経緯を簡単にまとめておくと、まずグレッグ君が、所得上位1%の人々は貢献に見合う収入を得ているに過ぎない、と主張した。これに対する批判は次の3つに大別される。 一つは、ディーン・ベーカーが言うように、仮に高収入が至当なものだとしても、その額は、知的所有権の尊重や高所得者への低税率といった政治的選択によって決まる部分が大きい、という点だ。 二つ目は、ハロルド・ポラックが言うように、グレッグ君は機会の不平等の問題をあまりにも安易に退けている、という点だ。5分位の最上位に属する人々の子供がその分位に留まる傾向はかなり強く、それはグレッグ君が主因だと考えているらしい遺伝の問題だけで片付けられるものではない。 三つ目は、エコノミ

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  • 経済学徒が知っておくべき5つのこと - himaginary’s diary

    についてハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)のDavid Hemenwayがreal-world economics reviewなる学術誌の直近号に書いている(H/T Mostly Economics)。 以下がその5項目: 人間は孤立した生き物ではなく社会的動物である 嗜好は変更可能で、特に子供と若者においてそうである 世の中には子供と若者が大勢いる(経済学の教科書にはほとんど姿を見せないが) 小売の購入者が自分の買う製品について詳細な情報を持っていることは滅多にない 大企業(やその他の経済的機関)は社会的および政治的な力をかなり持っていることが多い 当初Hemenwayは、機会コスト、限界分析、モラルハザード、外部性、囚人のジレンマゲーム、といったことを挙げようとしたが、結局は経済学に教科書にあまり出てこない上記項目にしたという。

    経済学徒が知っておくべき5つのこと - himaginary’s diary
  • 規制に賛成したハイエク、反対したフリードマン - himaginary’s diary

    規制を巡るハイエクとフリードマンの考え方の違いについて、Angus Burginというジョンズ・ホプキンス大学の歴史学者がブルームバーグのコラムに書いている(H/T Mostly Economics)。 As he undertook an American lecture tour in 1944, Hayek expressed frustration that many of his most ardent acolytes seemed not to have read the book. Although “The Road to Serfdom” expressed deep anxieties about central planning, it was also explicit about the positive role that government could p

    規制に賛成したハイエク、反対したフリードマン - himaginary’s diary
  • 今後の米国のインフレ率は4〜5%になる - himaginary’s diary

    ピーターソン国際経済研究所のSamuel Reynardが、貨幣の数量方程式に基づく分析から、現在の米国は1990年代の日よりは2000年代のアルゼンチンに近い、という結論を導き出している(Mostly Economics経由)。 The analysis presented in this paper shows that historical episodes of financial crises have been accompanied by different monetary stimulus, which were function of monetary policy reaction and financial sector transmission mechanisms. This has resulted in different inflation paths

    今後の米国のインフレ率は4〜5%になる - himaginary’s diary
  • 災害と便乗値上げ - himaginary’s diary

    マンキューが取り上げたように、ハリケーンのサンディが東海岸を襲った時の便乗値上げ(price gouging)について、CNBCのJohn Carneyが価格メカニズムの働きとして肯定した一方で(cf. ここ、ここ)、Mark Thomaがフェアネスの観点から疑問を呈した*1。そのThomaのThe Fiscal Times論説に対してCarneyは、ファンタジーに基づく議論、として批判した。 CarneyにThomaが直接反論することは無かったが、先月末のEconomist's ViewでThomaは改めて自分の真意を説明すると共に、この問題に関連するカーネマンの研究を紹介した記事にリンクしている。 以下はその記事からの引用。 In a famous study, the Nobel laureate Daniel Kahneman and his co-authors asked or

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  • 米国人が欧州人より働くのは離婚率の高さも一因 - himaginary’s diary

    という研究結果がvoxeuで報告されている(Mostly Economics経由)。 それによると、米国の労働時間は欧州より30%多いが、両者の労働時間の差の最大の要因は女性だという。未婚、既婚、子供の有無を問わず、欧州の女性は米国の女性より労働時間が短いとの由。 また、一般には両者の労働時間の差は税制が原因とされているが、税率と労働時間の逆相関は男性には見られたものの、女性には見られなかったとの由。 逆に、離婚率と男性の労働時間には相関が見られなかったが、女性の労働時間とは相関していたという。 結婚は暗黙の社会保障を提供しているため、離婚率が高いと女性の働くインセンティブが高まる、とvoxeu記事ではこの現象を説明している。モデルを構築してカリブレーションを行ったところ、結婚の安定性の差によって女性の労働時間の差の24%が説明できたという。税制を加味すると、その説明力は43%まで上がった

    米国人が欧州人より働くのは離婚率の高さも一因 - himaginary’s diary
  • 欧米が日本の轍を踏むことはない - himaginary’s diary

    と欧州中央銀行が月報に書いている(Mostly Economics経由)。 以下はその結論部より。 This article has described several differences both in the causes as well as in the policy response behind Japan’s “lost decade” and the recent crisis in the United States and the euro area. The latter two are rather unlikely to tread precisely the path of Japan. At the same time, Japan’s experience highlights the difficulties for economies emergin

    欧米が日本の轍を踏むことはない - himaginary’s diary
  • 何が国家の繁栄を決めるのか? - himaginary’s diary

    下記のダロン・アセモグルとジェームズ・ロビンソンの新著の内容が、MITニュースで紹介されている。 Why Nations Fail: The Origins of Power, Prosperity, and Poverty 作者: Daron Acemoglu,James Robinson出版社/メーカー: Currency発売日: 2012/03/20メディア: ハードカバー購入: 13人 クリック: 175回この商品を含むブログ (12件) を見る 以下は同記事の概要。 米国のように繁栄する国家がある一方で、貧困に留まる国家もある。また、古代ローマやソ連のように強国なのに崩壊する国家もある。アダム・スミスやマックス・ウェーバーから今日の学者に至るまで、多くの学者がこの問題に取り組んできた。 アセモグルとロビンソンが出した回答は政治体制。包括的な(inclusive)政治体制、即ち、政

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  • 民主主義抜きで富裕になれるか? - himaginary’s diary

    と題したブログエントリをダニ・ロドリックが書いている(原題は「Can you get rich without democracy?」)。 そこで彼は以下の図を示し、個人としては民主主義が無くても富裕になれるかもしれないが、国全体が富裕になるのは産油国で無い限り民主主義抜きでは難しい、と主張している。 この散布図に含まれるのは、人口百万人以上で燃料の輸出比率が5割以下の国全てである。民主主義の指標はここやここで紹介した研究と同様Polityのスコアを用いているとの由。 この図で非民主主義かつ一人当たり実質GDPが5000ドルを超えているのは、シンガポール、ベラルーシ、チュニジア、ヨルダン、中国の5カ国しかない。このうちベラルーシは旧ソ連の残滓であり、チュニジアは最近のアラブの政変の起点になった。中国がシンガポールの道を辿るのか、それともチュニジアの道を辿るのかは世界経済にとって(二番底云々

    民主主義抜きで富裕になれるか? - himaginary’s diary
  • 中国は米国と同じくらいの富裕度を達成できるか? - himaginary’s diary

    という問いをダラス連銀のレポートが投げ掛けている(原題は「Will China Ever Become as Rich as the U.S.?」;Mostly Economics経由)*1。 その問いに答えるため、同レポートではこれまでの米国と他の国々との経済パフォーマンスを比較している。具体的には、2005年基準の一人当たり実質GDPを同年の購買力平価でドル換算した指標を用い、以下の3つのグラフを示している。 最初のグラフは、ある10年間の当初時点の一人当たり実質GDPを横軸、その10年間の成長率を縦軸に取ったものである。成長理論から予想される通り、所得が高くなるに連れ成長率は鈍化する。 次のグラフは、ある年のある国の一人当たり実質GDPを一つのデータポイントとして、横軸にその指標値、縦軸にその指標値の米国に対する比率を取ってプロットしたものである。グラフから分かるように、米国に近いと

  • 地産地消は環境に良くない - himaginary’s diary

    とEd Glaeserがボストングローブに書いている(原題は「The locavore’s dilemma」;Economist's View経由)。 その理由は以下の通り。 2008年のカーネギーメロン大学の2人の研究者の調査によると、米国産の物の消費は一家計当たり年間8.9トンのCO2に相当する温室効果ガスを生み出す。そのうち物の配送から生み出されるのは0.4トンである。また、農作物の供給網上の輸送から生み出されるものの総計は一家計当たり年間1トンである。 我々は、配送を縮減することによる環境へのベネフィットと、物を必ずしも最適ではない栽培地で生育することによる環境へのコストを比較衡量する必要がある。例: 最近の英国での調査によると、英国産のトマトの消費はスペイン産のトマトの消費の約3倍の温室効果ガスを生み出すという。寒い英国でトマトを生育することによって費やされる余分なエネルギ

    地産地消は環境に良くない - himaginary’s diary
  • アフリカの貧困は紀元前1000年に決まっていた? - himaginary’s diary

    というブログ記事をイースタリーが書いていた(原題は「Was the poverty of Africa determined in 1000 BC?」)。内容はイースタリーが共著した論文の紹介。 論文では、紀元前1000年、紀元ゼロ年、紀元1500年、そして現代という4時点の各国の技術採用度を測定する、という気宇壮大なことを試みている。表4ではその技術採用度を指標化したものの五大陸ごとの平均が記載されている。試しにグラフ化してみると以下のようになる。 ここで、技術の発明ではなく採用の程度を指標としたところが味噌である。論文ではその点について以下のように記述している。 Why do our historical rankings differ from the view that ancient Europeans were barbarians, while China and the M

    アフリカの貧困は紀元前1000年に決まっていた? - himaginary’s diary
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