“PR”という業界がある。たとえばテレビに登場する政治家は、みんなスーツの選び方が似ているし、エキセントリックな恰好をする人は滅多にいない。セリフや口調も、判を押したようにそっくりだ。日本国民の多様性を正しく反映しているのなら、一人ぐらいストリート生まれヒップホップ育ちの政治家がいてもおかしくない。たとえばダボダボのジーンズを履いて、キャップを斜めにかぶり、マイクを片手に日曜討論に乗り込んで、「ここでTOJO! 俺がDAIHYO! RhymeでSYUHYO! 本気(マジ)なSEITO!」(ドゥ〜ン ドゥンドゥンドゥ〜ン キュワキャキャキャッキャキュワキャ!)と、リリックを刻む。そんな政治家がいないのはなぜだろう。 それはPR業界が、政治を影で支えているからだ。 政治家は政治のプロであっても、人前に立つプロだとは限らない。ファッションにはスタイリストの助力が必要だし、スピーチの原稿にはゴース