「幹細胞の基礎分野で大きな進展があった」。具体的内容に触れない理化学研究所からのプレスリリースが、「STAP細胞(刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得細胞)」騒動の発端だった。理研幹部は、毎日新聞の問い合わせに「これまでにない特別なリリース」と応じた。 1月28日、理研発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)。STAP細胞論文の発表に、16社約50人の記者が集まり、かっぽう着姿の若い女性研究者が、ピンクや黄色に壁を塗られた研究室で試験管を振る光景に、無数のフラッシュをたいた。山中伸弥京都大教授が2006年、マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)作製を発表したのは、文部科学省の記者会見場。カメラマンもほとんどいなかったのとは大違いだ。 理研は03年、ノーベル化学賞受賞者の野依良治氏が理事長に就任した際、運営方針「野依イニシアチブ」を発表。最初の項目に「見える理研」を挙げた。一般社会での理