清原和博・元プロ野球選手が2月2日、覚せい剤取締法違反の疑いで、現行犯逮捕された。世間に大きな衝撃を与えたこの事件。メディアによる報道はいまだ収まる気配にない。 法を犯したとはいえ、薬物依存はれっきとした精神疾患でもある。薬物依存者に対して懲罰的な発想が根強いが、果たしてそれで本質的な解決につながるのか。 薬物依存症研究の第一人者である、独立行政法人国立精神・神経医療研究センター精神保健医療研究所薬物依存研究部長の松本俊彦氏に、病の実態や横たわる課題の数々について尋ねた。 (聞き手は庄子 育子) 心が薬物にハイジャックされている状態 清原氏逮捕時の様子をあるテレビ局が独占的に捉えていましたが、薄着であるにもかかわらずかなり汗をかいているなど、少し異様な感じがしました。臨床的にはどんな状態であったと捉えられますか? 松本俊彦(まつもと・としひこ) 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究セン