政府は原発の新増設やリプレース(建て替え)を検討する姿勢に大きくかじを切った。脱炭素社会や電力の安定供給を実現するには原発の活用が不可欠と判断したためだが、十分な議論がないまま建設に突き進めば、大きな反発を招く可能性もある。 電力危機でタブー打破 「電力需給逼迫(ひっぱく)という足元の危機克服のため、今年の冬のみならず今後数年間を見据えて、あらゆる施策を総動員する」。首相官邸で24日に開かれた脱炭素社会への移行に向けた政策を検討する「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」で、岸田文雄首相は強調した。 これまで政府・与党は世論の反発を恐れて新増設やリプレースについて本格的な議論を棚上げにしてきた。日本の中長期的なエネルギー政策の方向性を示す「エネルギー基本計画」は2011年以降、3度改定されているが、新増設などは明記されていない。