「今回の日韓関係の悪化は『本物』だ」。長年、日韓の政治を見つめてきた日本の有識者が危機感をあらわに述べました。これまでも、竹島や慰安婦の問題など、両国の間では、歴史をめぐる対立がいくつも起きてきました。しかし、「徴用」をめぐる訴訟の判決は、それらとは比較にならないほどの衝撃で、1965年の日韓国交正常化を土台から揺るがし始めています。日本企業に賠償を命じる判決が相次ぎ、資産が差し押さえられる事態にまでなっているためです。65年に「完全かつ最終的に解決済み」と合意されたはずの「徴用」をめぐる問題。なぜ、今になって「パンドラの箱」が開かれたかのように次々と日本企業が韓国の司法に指弾される事態になったのでしょうか。(ソウル支局記者 徳田亮祐) 去年10月30日、一連の訴訟で初めて日本企業(新日鉄住金)に賠償を命じる判決を確定させた韓国の大法院(最高裁判所)。 請求権の問題は解決済みと明確に定めた