父親に棒で殴られた傷痕が今も生々しく残る小嶺達雄さん。「思い出したくない。でも、忘れず伝えていかねばならない」=沖縄県名護市で2023年4月18日午後4時21分、喜屋武真之介撮影 今年度の新聞協会賞に選ばれた「伝えていかねば」は、太平洋戦争末期の沖縄であった、いわゆる「集団自決」の埋もれていた史実に光を当てた写真報道だ。西部本社編集局写真部兼那覇支局の喜屋武真之介記者(38)は、沖縄本島の西方沖にある渡嘉敷島で起きた集団自決の取材を続け、メディアの取材を初めて受けるという男性にたどり着いた。男性が語るあの日の悲劇はあまりにむごく、撮影に応じた男性の頭に残る傷痕にはその証言を裏付ける圧倒的な力があった。78年の時を経て重い口を開いた生存者を捉えた写真は、戦争が何をもたらすのかを問いかけている。 4月18日、沖縄県名護市のアパートの一室で、小嶺達雄さん(88)と会った。部屋で待つ小嶺さんの頭に