「あくまで野望なんですけど、今それに関係する実験を、ちょっとだけやっていて、半ば失敗に終わりつつあるところです。例えば、さっきの聴覚で11ヘルツのトーンを聞くと、時間を短く感じましたよね。なので、学生に10分間ぐらいのつまらないタスクをやらせて、背景音で11ヘルツをずっと聞かせて。他にも音がない条件とかいろいろやって、今何分ぐらい、あなたはこのタスクをやっていたと思いますかみたいなことを聞いて測定してるんです。結果を言うと、11ヘルツを聞かせても、聞かせなくてもあんまり変わらなくて。そのレベルで縮めるのは、ちょっと難しいかなと思ってます」 結局、時間の知覚は、一筋縄ではいかない。さっきは、視覚と聴覚の違いに着目したけれど、ここでは時間の長さのスケールも関係しているようだ。 つまり── ミリ秒単位のごく短い時間帯では、小脳や運動野がはたらき、1秒を超えると視覚野や聴覚野がそれぞれ関与し、ずっ