「リーマンゼータ関数の零点は、負の偶数と、実部が1/2の複素数に限られる」、「単連結な三次元閉多様体は三次元球面に同相である」……。 数学にはとかく、数学界の「中」の問題に生涯をかけて取り組み、数学上の未解決問題を追求するといった、純粋な上にも純粋、すなわち実社会とは没交渉な「至高の学問」のイメージがないだろうか。 だが今、GAFAを始めとする米国のビッグテック各社が、数学専攻の優れた学生を積極的に採用している。そして、ヨーロッパには、「マスハイヤー・オルグ」を始めとする、数学系人材向け職探しサイトも豊富だ。少なくとも欧米では、数学界と産業界の距離は明らかに近くなっているようだ。 国内に目を向けても、経済産業省が2018〜19年、「理数系人材の産業界での活躍に向けての意見交換会」を開催したほか、2018年の同省の報告書「数理資本主義の時代~数学パワーが世界を変える~」の中では、「デジタル革