(2010年8月10日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 日本企業がこの2週間に発表した業績報告や業績予想は、一見したところ、投資家を喜ばせるものばかりである。トヨタ自動車やソニーといった有力企業は、4~6月の四半期決算で、予想を上回る業績を記録した。上場企業の6社に1社は業績予想を上方修正した。 ところが、日本企業の株価は7月の安値からほとんど回復していない。日経平均株価は4月に記録した年初来高値から15%ほど低い水準で推移しており、株主や政策立案者、多くの経営者の間には悲観的なムードが漂っている。 好調決算にもかかわらず悲観ムードが漂う理由 理由が知りたければ、円相場を見ればいい。金融危機の最中に急上昇した円は、今再び値を上げ、2009年11月につけた14年ぶりの高値84.80円に近い水準で取引されている。2010年に入ってから、円は対ドルおよび対韓国ウォンで7%、対ユーロでは15%も