宝石を買うことにはあまり縁がないが、宝石自体には興味がある。 きれいだからだ。単純な理由だ。 そんな宝石を扱う仕事につこうかと、「宝石鑑定士」の資料を取り寄せたこともある。勉強には莫大なお金がかかるのだった。挫折した。 それから10年。実際に宝石鑑定・鑑別の仕事を見てみたいと思い、ある研究所にお邪魔した。凝り性な鑑定士さんが、そこにいた。 (text by 乙幡啓子) 世田谷線に乗って訪ねる 「世田谷宝石研究所」という名前に惹かれてアポイントをとった。鑑定士・藤岡さんは事前にデイリーポータルを熟読してくださり、どういう写真が望ましいかを考え、「最適な写真を、撮っておきました。」というではないか。なんと協力的な方だろうか。 世田谷線に乗り継ぎ行ってみると、閑静な住宅街の一角に研究所はあった。普通のお宅の2階の1室を仕事場にしている。ところ狭しと、専門書や工具が並んでいる。 「宝石の写真はです