<研究の背景と経緯> 「怒り」はコミュニケーションの大きな阻害要因の1つであり、怒りをいかに鎮めるか(抑制するか)は、コミュニケーションを円滑化する上で極めて重要と言えます。現代社会では、怒りが好ましくない場面や状況は多くあり、そのためビジネスシーンでは、「アンガーマネジメント」が1つの重要なテーマとなっているほどです。こうした状況を受けて、「怒り」という情動についての理解を進めようとする研究に注目が集まっています。 これまで、人の怒り状態とは、覚醒状態が高く不快な状態であると言われていました。しかし近年、怒りは動機づけの視点からも解釈されており、怒りは、自身にとって望ましくない結果や相手が生じた時、それを変えようと相手に攻撃や介入をしようとする強い「接近の動機づけ」を持つ情動であることが明らかにされていました。 人は怒りという情動状態になることで、自律神経系反応、すなわち心拍数や汗の増大