2022年8月14日のブックマーク (2件)

  • 小松左京のSF短編「地には平和を」・本土決戦が行われたパラレルワールド - そういちコラム

    SF作家・小松左京(1931~2011)の最初期の作品に「地には平和を」という中編があります(文庫版で50ページほどの長さで「短編」ともいえる。角川文庫『地には平和を』所収)。 太平洋戦争をテーマにした作品で、1960年(昭和35)に書かれたものです。 この作品の舞台は、1945年(昭和20)夏から秋にかけての日。そこでは8月の終戦を迎えることなく、土決戦(日に上陸した米軍などとの戦い)が行われている。 そのような、実際とは異なる歴史を歩んだ「パラレルワールド」を描いた、SFの古典です。 *** そのパラレルワールドの日では、予定されていた8月15日の玉音放送は中止となりました。そして、「事故」によって急死した鈴木貫太郎首相に代わって新たに首相となった阿南惟幾(あなみこれちか、鈴木内閣の陸軍大臣)による、土決戦に向けた演説が放送されます。 これは、降伏を拒否して徹底抗戦を主張する

    小松左京のSF短編「地には平和を」・本土決戦が行われたパラレルワールド - そういちコラム
  • 濃密に漂う死の匂い / 「ニューヨーク炭鉱の悲劇」 村上 春樹 - 日々の栞

    村上春樹の「ニューヨーク炭鉱の悲劇」は、濃密な死の匂いが立ち込める小説だ。 話の意味するところや、構成の意図するところが分からなくても、作中に漂う「死の匂い」を感じ取った人は多いんじゃないかなと思う。この小説では、主人公の周りで多くの人が死んでいく。まるで、死神によって死の世界へと引き込まれるかのように。 自分自身の経験から言っても、友人や恩師が次々に死んでいってしまう時期があった。そういの時は自分の身の回りに死がぽっかりと口を開けて待っているかのように感じたことを覚えている。小説に話を戻そう。 小説全体としては解釈するのが難しい部類の村上春樹作品だと感じる。特に、炭鉱に閉じ込められた人々の描写が唐突に挿入されるのは、どういう意味?と困惑した人は多いんじゃないかな。 この小説の内容を大きく分けると3パートになる。 ①身の回りで人が死んでいく「僕」と友人の話 ②「僕」に似た男を殺した女と「僕

    濃密に漂う死の匂い / 「ニューヨーク炭鉱の悲劇」 村上 春樹 - 日々の栞