Z世代の若者の間では昨今、コスパならぬ「タイパ=タイムパフォーマンス」が重視されているという。情報が溢れ、無限に提供されるコンテンツに囲まれた生活の中で、できる限り効率的に時間を使おうとするその姿勢は、デジタルネイティブにとっては当然なのかもしれない。学習塾では1.5倍~2倍速の動画で授業をするケースも増えており、それでも理解度は下がらないと評判だ。そうした風潮を反映してか、ビジネス書においても、『YOUR TIME ユア・タイム』(河出書房新社)や『限りある時間の使い方』(かんき出版)といった時間術にまつわるものがヒットしている。 一方、『映画を早送りで観る人たち』(光文社)や『ファスト教養』(集英社)などの新書では、時短を重視するあまり、映画のように本来じっくりと鑑賞すべきコンテンツまでが「タイパ」の対象となっていることや、有名YouTuberによる本の要約だけで教養を身につけようとす