ドイツを変えたケルン事件 この出来事は、単なる刑事事件ではなく、政治的に大きなマグニチュードを持つ。難民問題をめぐるドイツ人の意識は、大晦日の夜を境に、一変したと言っても過言ではない。これまで「戦火を逃れてドイツにたどり着いた難民を積極的に受け入れるべきだ」と考えていた人々は、1年間に約100万人の難民を受け入れることが、現実生活の中で何を意味するかを、ようやく悟った。 ドイツで一度も起きたことがない暴力事件を見て、ドイツ人たちは、「文明の衝突」を体験しつつある。ケルン事件以降、多くのドイツ人の心から、「難民を歓迎する文化(Willkommenskultur)」は雲散霧消した。首相のアンゲラ・メルケルが難民受け入れ数に上限を設けない限り、彼女に対する支持率は今後下落するだろう。 外国人による女性襲撃 大晦日の夜に、何が起きたのか。ライン川に面した古都ケルンは、中央駅の南側に大聖堂があること
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