日本に帰国している。最も驚いているのは環太平洋経済連携協定(TPP)に対する関心の高さだ。行きつけの定食屋の親父さんから一般の大学生まで「TPP」「TPP」と騒いでいる。テレビをつけると、主婦向けのワイドショーでもTPPを話題にしている。 関心の高さに加えて、日本での議論の中身にさらに驚いた。反対派は「TPPはアメリカの謀略である」との意見である。申し訳ないが、謀略であるはずがない。理由は簡単。アメリカにとって日本は、謀略を仕掛ける対象ではない。アメリカは力をなくしつつある。最重要地域になりつつあるアジアで、最大の盟友である日本の相対的重要性は増している。仮に謀略を仕掛けるなら、急成長するアジア太平洋の新興国市場に対してだろう。 それに、与野党が足の引っ張り合いをしている今のアメリカに、謀略を仕掛けるエネルギーも能力もない。「アメリカ」と言っても、大統領、財務省、国務省、連邦準備制度理事会