ponponchoのブックマーク (22)

  • 険しい道のり - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    「またアホみたいな事を…」 俺はリリの言った事に頭を抱える。 「な、なんでですか!? いいじゃないですか、必殺技!」 「いや、そこを否定する気はないんだけどな」 確かに俺も必殺技というものには憧れていた。 社畜時代は出来なかったが、ゲーム自体は好きだったし。 けど、実際に必殺技を持てるかと言われると現実はそうもいかないだろう。 アニメとかで見る感じで技名なんて叫んでる暇ないだろうし。 「ううぅ…。も、モームさんはどうですか!?」 「そうですな。私としてもリリ殿の心意気はとても良いと思います」 「ほうら見たことですか!? やっぱりカナタはまだまだ甘ちゃんですね」 「調子に乗るな!」 「痛いっ!」 俺はリリの頭を殴る。 しかし、俺も一緒に変な声を出した割にリリの考えにモームさんが賛同したのは意外だ。 「しかしまた、カナタ殿の言う事にも一理あります」 「ほらな」 「ううぅ〜…、何でですかぁ〜…?

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    ponponcho 2021/08/23
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  • 朝霧の駆けっこ - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    朝―――まだ日も登らないほど早くに俺は目を覚ます。 みんなを起こすのは申し訳ないから、目覚ましの類はつけない。 そんなものがなくても起きれてしまう所が社畜の誇れるところであり、同時に悲しい所だ。 「けど、まだ自分からやる気になれてるだけあの頃よりはマシだな」 誰に言うのやら、俺の言葉は朝霧の中に消える。 肌を刺すこの寒さにももう親近感を覚えてきた。 「おはよう。モームさん」 「ああ、タツミ殿。お早いお目覚めですな」 「アンタほどじゃない」 村の外れで待つモームさんとそんな朝の会話をする。 こんな時間から俺より早く起きてる時点で十二分にこの人の方が凄い。 「それでは、日も剣の修行を始める前に体を慣らしますか」 モームさんは俺の頭の上に乗る。 もうこの人ここが定位置になりつつあるよな。 「軽くこの村を三周してください」 「なんか段々距離増えてないか?」 「私から見てタツミ殿の成長を考えた結果

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    ponponcho 2021/08/17
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  • 薬草採取 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    怪我人の治療、村の復興、鍛錬。 やる事は山積みだが、一つ一つ着実に終わらせる事を胸に俺達は今日も頑張っている。 「傷の具合は大丈夫か?」 「は、はい。まだ少し痛みますが、無理のない程度には動けます」 「そうか。しかし、今はまだ人手を欲していない。休んで体を回復させることに専念しろ」 「は、はあ…」 怪我人にそう語りかける黄色の体をした人型スライムのこの人はタリムさん。 この村で唯一の医者であり、同時に街の顔役らしい。 「さて、これで負傷者はあらかた見たな。次は、傷の深い者への対処だ」 「なるほど、俺達がどうすればいい?」 「タツミは村から出てハナカナ草という薬草を取ってきてくれ」 「ハナカナ草?」 「この近くで群生している薬草だ。人間種には毒薬だが、スライムにとっては配合を間違えなければ超回復薬になる」 タリムさんはそう言って一枚の紙を俺に渡してきた。 そこには、ハナカナ草の事が事細かに書

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    ponponcho 2021/08/16
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  • さらなる強さへ - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    翌日から、俺達はこのファンタジアでゴブリン討伐への準備を始める事にした。 リリは前回のゴブリン襲撃で傷付いた者たちの手当て。 レイナさんは一度街へと戻ってさらに冒険者を集う。 そして俺は、単純に戦力としての強化。 「1、2、3…」 とは言っても、まだ単純な素振り程度だ。 みんなが寝静まってる朝早くに家を出て、こうしている。 「ふむ、やはりカナタ殿は中々見どころがありますな。懐かしいものです」 どうしてこの人は当たり前の様に起きているのだろうか…。 横で俺の素振りを見て言うモームさんにそう思う。 村を一通り見て回ったが、この人の他のスライムさんはみんな人型だった。 「なんでモームさんだけは人型じゃないんだ?」 「私はもう歳ですからな」 意味が分からない。 「どうして歳で人型かそうじゃないかで違うんだよ」 「スライムは元々人型です。それが歳を重ね、段々と人の姿を保てなくなると、私の様な姿になる

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    ponponcho 2021/08/15
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  • ゴブリン - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    その後、俺達はレイナさん宅へと案内された。 そこで俺達は、レイナさんとレイナさんのお爺さんスライムと顔を合わせている。 「紹介が遅れましたなタツミ殿。私(わたくし)はモーム。レイナの実父です」 「祖父です!」 茶目っ気なのかそんな冗談を交えて言うモームさんとレイナさん。 まあ、片方の見た目が見た目だから正直嘘かホント分からない。 けれど、レイナさんの反応を見る限りモームさんの言う事は嘘なのだろう。 「ま、まあとにかく……話を進めましょう」 「そ、そうですね。失礼しましたタツミさん」 レイナさんは恥ずかしがりながら息を整える。 正直、凄く可愛いと思う。 「ふんっ!」 「痛え!」 机の下で、俺の脛はリリの足に蹴られた。 予想だにしてない一撃なだけに、とても痛い。 「何しやがる!?」 「カナタがレイナさんに鼻の下伸ばしてるからいけないんでしょう!?」 「はあ!? 伸ばしてねーし! そもそも伸ばし

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    ponponcho 2021/08/14
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  • スライム登場 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    あれだけ威勢のいい啖呵を切ったものの―――。 「これはどうしようもねえ!」 俺は目の前で涎たらしながらこちらを煌々とし目で見つめてくるローチクロコダイル(以下長いからワニ)から距離を取って叫ぶ。 だが、敵は肉に飢えた魔物。 俺の帰ってほしいという気持ちなど到底汲んでくれるわけもない。 いや、逆にそんな弱気だと簡単にわれるかも…。 「ガアッ!!」 「ぎゃああああ!」 ワニの突撃。 ローチという名と、黒光りする鱗からなんとなく予想は付いてたが、直線的かつとてつもない速度から確信した。 こいつはゴキブリだ。 都民ならそのほとんどが存在を嫌い、異常な生命力と繁殖力を持つあの生き物。 さすがに大きさのせいか、奴ほどの速度は無い。 だが、テレビ番組とかでよく見る大型のワニの体格で突撃してくるのだからその威力はもう凄い。 現に、俺の後ろに位置していた大木はものの見事に嚙み倒された。 うん、噛まれたら死

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    ponponcho 2021/08/14
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  • 嫌な予感ほど当たるもの - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    山道を超え、森の中を進む馬車。 道が凸凹(でこぼこ)だからか、その車内は山道よりもガタガタ揺れる。 「だいぶ酷い道だな」 「そうですね」 「この辺りはこの時期、王様ガエルが大規模な移動を始めるんです」 「王様ガエル?」 なんだその少しだけ興味を引かれる名前の生物は。 という誰だそんな名前を付けたのは、ギャグか? 「体格のとても大きいカエルです。ただ、性格は温厚なのか近づいてもどっしりと構えている様子から、一国の王の様な貫録を感じるという事で王様ガエルという名前が付いたそうです」 「へ、へえー…」 「でも、侮ってはいけません! かつて王様ガエルの逆鱗に触れた冒険者が、そのまま飲み込まれただけでなく、近くにあった村すら丸ごと飲み込まれたという事例もありますからね」 そんなデカいの!? 絶対出くわしたくない相手になった…。 「それにしても、まだ着かないんですね。スライムの里って」 「何分辺境な地

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    ponponcho 2021/08/13
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  • 女性らしさ - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    早朝。 俺はまだ寝ているリリを起こさずに家から出る。 朝霧に包まれた景色に肌寒さを覚えながら、俺は鞘に仕舞ったままの剣を取り出す。 「どうせ、今回も戦闘沙汰になるだろうしな」 俺はこれまでの経験から剣を振った。 鉄で出来ている剣だから、当然木剣よりは重いが、それでもあの重力魔術を掛けられた状態と比べたら軽いものだ。 「にしても……これはどうしたもんか」 俺は誰にもバレないの良い事にその場でポケットを開く。 そして、自分の取ったスキルの内の一つを見つめる。 「まあ、元々不明な物だから今更驚かないが、これはどうしたものか」 その中の一つ―――魔帝のスキルだ。 俺はずっと前、それこそエレインに指導を受けている最中にこのスキルを取った。 重力魔術なんて便利そうなものを見せてもらったし、近くにはミゲルっていう魔術の天才みたいな子も居た。 だから取るならばここと思って取得したのだが―――。 「―――我

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    ponponcho 2021/08/12
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  • 冒険者ランク - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    住居を手に入れて早二週間―――。 「なあリリ」 「はい?」 「冒険者ランクって、どのくらいの依頼をこなせば上がるんだ?」 俺はふとそんな疑問を持った。 俺達の冒険者ランクは俺が12、リリが11だ。 その差は俺がエレインの元で指導を受けている間にもリリは依頼を受け続けていた事によるものだが、彼女がどういう依頼をどの程度達成してきたのか、考えてみれば聞いていなかったな。 「無理のない生活を心がけようにも、最低ランクの俺じゃ受けられる依頼なんて限られてる。この前のサイクロプスみたいな依頼が運良く舞い込むってのも考えずらい。なら、せめてランクを上げて少しでも受けられる依頼の範囲を増やさねばと思ってな。―――リリ?」 俺がリリの方を見ると彼女は手を止めながら震えている。 「ダメですー! カナタの冒険者ランクが上がる事なんて認めませんー!」 「ハア!?」 血相を変えて俺に語り掛けるリリ。 こいつにとっ

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    ponponcho 2021/08/11
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  • 親子 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    「このバッカ野郎!」 モナの仕事場。 つまり、カツジのおっちゃんの鍛冶場に訪れた俺達を迎え入れたのは、鼓膜を破りかねんほどのドデカい怒号だった。 「……ごめんなさい」 「エナメル鉱山に採掘に行っただぁ!? てめえ自分が何したか分かってんのか!?」 さすがのモナもおっちゃんには形無しなのかしゅんとして頭を下げる。 「悪いおっちゃん。そうとは知らずに依頼を受けちまった俺達にも問題があるんだ」 「そ、そうです! だから、あまりモナさんばかりを責めてあげないでください」 さすがにいたたまれなくなり俺とリリが二人の間に入る。 「ああ、お前さんらか。出来の悪い娘が失礼したな」 「いや、別にそんな事は……娘え!?」 娘!? え、娘!? いや、カツジのおっちゃんくらいの見た目の人ならお子さんくらいはいてもおかしくないけど精々小学生くらいだとオッサン思ってたよ! まさかモナほど大きな娘がいたのは驚きだよ!

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    ponponcho 2021/08/10
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  • 駄々っ子リリちゃん - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    「ここがエナメル鉱山か…、鉱山ってより洞窟だなこりゃ」 俺達は次の日の昼にはエナメル鉱山に到着した。 だがそこは山というにはあまりに入り口が下に続いている。 まさに昔やってゲームとかで見るダンジョンの入り口の様だ。 「ここは鉱山の裏道だから。私がずっと前に見つけた」 「裏道? なんで表から行かないんだよ?」 「当のエナメル鉱山の入り口には毒ガスが充満してて毒に強い耐性が無いと入れないから」 「毒ガス!? おい、大丈夫なのかよ!? 裏道でもこっちもエナメル鉱山の中には違いないんだろ!?」 「さあ」 さあってそんなテキトーな…。 いや、それよりも。 「リリ」 「は、はい?」 「お前はちゃんと依頼の全容を聞いておけよ! 毒ガス出るなんて聞いてねえぞ!」 リリの頭に拳骨を見舞う。 「痛いっ!?」 痛くなるように打ったんです。 痛くないと困るんです。 「なんなんですかカナタは!? 私はちゃんと毒ガ

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    ponponcho 2021/08/09
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  • ウチの遠距離役は体力が(比較的)無い - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    雲一つない晴天。 空を駆ける鳥達。 そよぐ風。 そして 「ちょっと待ってくださいよ〜…」 後方でへこたれるリリ。 エナメル鉱山まで歩きで行く為、早々に街を…というよりも国を飛び出した俺達だが、さすがに一日ちょっとかかると言うだけあって長い。 しかもこの晴天から差す日差しと、急斜面の峠のおかげで汗も凄い。 「もうちょっとがんばれよリリ。ここを越えないと明日までにエナメル鉱山に着けないんだから」 「うん。頑張ってくれないと困るからね」 「というかなんで二人はそんなに平気そうなんですか〜!?」 「「慣れてるから」」 声が重なる。 「そんな~…」 リリだって普通の人よりは体力があるはずだ。 そのリリでさえ弱音を吐きたくなるほど歩いているのだ。 「カナタ~、背負ってください~…」 「はあ!? 冗談言うなよ! 俺だって野宿の為の道具とか武器とか持ってんだぞ! それに加えてお前なんて背負ってられるかよ!

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    ponponcho 2021/08/08
    10000PV突破ありがとうございます!
  • 新たな武器 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    モナという少女との会話をした翌日。 俺は街の中にある国立の図書館に来ていた。 「……うーん。このにも無いかあ」 目的は二つ。 一つは悪魔が言っていた魔王と魔将星のこと。 もう一つはこれまた悪魔の使った魔法のこと。 アイツは魔術を低級な技と言っていた、だからもしかしたらにでも残されているのかと思ったが、どこを見ても魔法の文字どころか魔王という単語すらない。 なにせ悪魔でさえ残っている文献はわずかだった。 「まあ、御伽噺に出てくるような奴だからな」 そう、相手はリリや、あのエレインですら御伽噺で知る存在。 その頂点ともなれば、文献はあっても無くても当たり前なのかもしれない。 それに今知ったからと言って、手を出せるわけでもないし。 その後、俺は図書館を後にした。 そして約束の三日後―――。 「はい。これ」 再びモナと会った俺は彼女から一の剣を手渡された。 「いいのか? 俺言いたくないけど金

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    ponponcho 2021/08/07
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  • モナ - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    「エナメル鉱山?」 「はい。ここから少し西に行ったところにある鉱山なんですが、少し問題があるらしいんです」 酒場で事を摘まみながら話す俺達。 あ、この肉美味い。 「リリが頼んでくれたみたいだけど、これ何の肉?」 「ガーガー鳥のお肉ですね」 「ガーガー鳥ってなんだ?」 「ガーガー鳴く鳥です。何でも、鳴き続ける事によりお肉は程よく温められることでそのままべる事も出来るらしいです。ちなみに、よく鳴くガーガー鳥ほどお高いお値段になるらしいですよ」 へー、そんな鳥がいるのか、見たことないけど間抜け面なのかな? 名前がそんな感じする。 「ねえ、ちょっといい?」 会話を遮ってきたのはあの女の子。 あの時は暗闇で見えなかったが、目は髪と同じで黒である。 見た目だけなら純日人だ。 「ああ、ごめん。それで、君が今回の依頼主って事だけど、管理部には依頼を出したの?」 「出してない」 「なんで?」 自分で言

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    ponponcho 2021/08/06
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  • 宴 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    「帰ってきてしまった…」 結局、何の切り出し方も見つけられないまま宿屋に着いてしまう俺達。 「スワロフさん。ガッカリするでしょうね」 「ああ、そうだな。けど、言わないって事は無理だ。覚悟を決めよう」 俺は意を決して扉を開く。 「カナタ様、リリーナ様。お帰りなさいませ! よくぞご無事で!」 そこには満面の笑みをこちらに向けるスワロフさんがいた。 う、何も知らない笑顔が心に刺さる。 「あの、スワロフさん…」 「その言いにくいんだが……嫁さんの魂は」 「当にありがとうございました」 俺の言葉を遮り、スワロフさんの横にお婆さんが現れた。 誰…? 「夫からお話は伺っております。夫とこの宿の為にあの凶悪な悪魔と戦ってくださったと」 夫? スワロフさんが…? という事はつまりだ。 「アンタがスワロフさんの嫁さんか!?」 「はい。おかげさまでこうして元の体に戻れました。当にありがとう」 お婆さんはそう

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    ponponcho 2021/08/04
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  • 魔法 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    俺は宙に向けて剣を振り抜く。 素振りじゃない、目の前の悪魔を斬ろうとしただけだ。 「おーとっと危ねえ! 今のに当たってたら死んでたかもな、ヒャッヒャッヒャ!」 嫌味で笑う悪魔。 だが、その油断を見逃さずに奴の足元にムチが絡みつく。 「おお!?」 「捕らえました!」 リリがムチを手に言う。 そして、慣れた手つきでボウガンに矢を装填して悪魔に向ける。 片手だけで装填とか、器用な事が出来るようになったな。 「ヒヒヒ…」 俺がリリに感心していると、突如悪魔がリリのムチから抜け出した。 いや、どちらかと言えばその場から消えたというのが正しいかもしれない。 奴を明確にしていた赤い輪郭線すら消え、その場にはただただ暗闇だけがあった。 「いやあああああああ!!」 まあ当然、リリの放った矢は悪魔が消えたからもちろん空振り。 それだけならまだしも、その矢は彼女と悪魔の直線状にいた俺に対して飛んでくる。 情けな

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    ponponcho 2021/08/03
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  • 悪魔 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    一か月ぶりに帰った宿屋は、見違えるように綺麗になっていた。 「おお、カナタ様! お待ちしておりました、お帰りなさいませ」 「スワロフさん。久しぶり、すっかり朝帰りしちまった」 リリが迎えに来たのが夜だったことも相まって、宿屋に着いた頃には既に朝。 小鳥のさえずりが心地よく届き、背中では不貞腐れていた相方が静かに寝息を立てる。 「すぅ…すぅ…もうカナタってば仕方ないですねぇ……やっぱり私が居ないとダメダメなんですから…」 「スワロフさん、この馬鹿シバいても良いかな?」 夢の中で俺にどんなマウントを取ってるのか知らないが、帰り道で寝落ちしてここまでおんぶさせた挙句にこの発言だ。 一発ぐらい殴っても文句は言われないんじゃないか? 「許してあげましょう。リリーナ様もカナタ様が戻られない事を案じ、お一人でお迎えに行かれたのです。それも、お疲れの中、迷うことなく。女性の大言も大目に見てあげるのも、男の

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    ponponcho 2021/08/02
  • VS紅騎士 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    拝啓、お父さん、お母さん―――。 お元気ですか? 俺は元気です。 就職後も必死に働いていた会社からは退職したのですが、このファルブガルデという世界で、冒険者として過ごしています。 冒険者っていうのは、まあ不定休のフリーターの様なものかもしれません。 しかし、それでも自分の働きが認められ、正当な報酬と、好きなように休みが貰えるので、前の会社よりも充実して過ごせています。 そして、今俺は―――追いかけられています。 「待てタツミ! 逃げたら模擬戦にならないだろう!?」 「じゃあまずは手加減を覚えてください! 痛え!」 俺は迫る刃を受ける。 受け取のは脇腹だけどとても痛い。 なにせ木剣だから斬れないけど、その分鈍器だ。 それを彼女の腕で素早く振ってくるのだから、痛くないわけがない! というか、ここでのしごきがなければもう何回か気絶している! 「ハッハッハ、そう遠慮するな! 新たな道に進もうとして

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    ponponcho 2021/08/01
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  • 模擬戦 - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    「……目が覚めてしまった」 俺は辺りを見回す。 この指南中は男女それぞれが一つの大部屋に集められ、共に日々を過ごす。 周りの連中が寝ていることから、容易にまだ早い時間なのだと分かる。 「何時だよ…?」 俺は立てかけられた火時計を見る。 火の魔術を用いて作られた時計らしいが、火事等の心配はないという優れモノだ。 「五時…か」 当なら違う表記なのかもしれないが、俺の目にはそう表示されている。 当にこのスキルのおかげで、こちらでの生活は今のところ不自由なく暮らせているのでありがたい。 「少し、散歩でもするか」 俺は他のみんなを起こさないように部屋を出た。 朝の少し冷たい空気と、誰一人いないことによる静けさは、神秘的な雰囲気を醸し出している。 「まだちょっとプルプルしてる」 俺は自分の腕を見る。 無理をさせすぎたのか、その腕は少し痙攣していた。 まあ、あれだけ一心不乱に剣振ればそうもなるかと、

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    ponponcho 2021/07/31
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  • 閑話1 風呂にて - 冒険者ってホワイトな職業ですか?(ポンチョ) - カクヨム

    「なあスオウ。一つ聞いていいか?」 「なんですか?」 俺は風呂で今日一日の疲れを取りながら彼に聞くことにした。 「教官ってさ、なんで紅騎士って呼ばれてんの?」 そう、話題はもちろんあの性悪ことエレインの事だ。 「簡単ですよ。敵の血に塗れてなおその美しさが損なわれないから、紅いドレスを纏ったような騎士で、紅騎士なんです」 「……え、それだけ?」 「それだけです」 案外単純だったことに面らう俺。 もっと大層な理由があるものかと思ったがな。 「けど、大事なのはそこじゃないですよ」 「何がだ?」 「噂でしか聞いたことがないんですが、あの人が騎士になってから誰一人、彼女が傷を負ったところを見た人はいないらしいです」 「何をバカな事をって言いたいけど、今日のを見せられるとあながち嘘とも言えないな」 あの一撃は当に凄かった。 気が付いたらイナゴが真っ二つになってた。 剣を抜くところすら見せてもらえな

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    ponponcho 2021/07/30
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