今年の三本指に入る名作だと思った。いきなり結論から入るが。 近藤ようこの新刊『五色の舟』(原作・津原泰水 KADOKAWA)である。なんとも言えない美しさを秘めた作品だった。 原作は津原泰水の短編集『11』(河出文庫)に収録された短編だ。同作品は第2回Twitter文学賞を受賞。なかでも短編「五色の舟」は高い評価を受けており、最高傑作との呼び声が高い。 舞台は戦争末期。抑圧的で先の見えない時代に、見世物小屋の一座として糊口をしのぐ、“異形の家族”がいた。両足を脱疽で失った元花形役者だったお父さんこと雪之助を筆頭に、小人症でありながら怪力の持ち主である昭助。元シャム双生児で分離手術を受け、蛇女として生きる桜。膝の関節が逆に曲がるのを逆手に取って牛女を演じる清子に、この物語の主人公といえる両腕のない少年の和郎(かずお)で構成されている。 昭助と和郎は川べりで本当の家族に見捨てられ、桜は
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