みんな、普通の人 土木作業員の「清水祐一」 祐一の祖母「房江」 生命保険会社の外交員「石橋佳乃」 石橋佳乃の父、田舎で床屋を営む「石橋佳男」 紳士服量販店に勤める「馬込光代」 努める有名な旅館の御曹司「増尾圭吾」 この6人が主な登場人物です。 増尾以外は、普通の人です。 私のまわりにもこういう人、たくさんいます。 私だってこの小説に登場していてもおかしくない、それくらい、普通の人です。 この、増尾以外の5人は、人生の負け組といってもいい。 その負け組に感情移入して、多くの人はこの作品を読むのではないでしょうか。 そして、唯一の勝ち組、増尾を敵視して読んでしまいます。 見栄っ張りな佳乃、不器用な祐一、ネガティブな光代…。 登場人物、みな性格は違えど人に飢えています。 認めてほしい、愛してほしい、そう願っています。 大金持ちの増尾ですらそうです。 その飢えが胸にしみます。 上下巻ですが、上巻は