トランプは、ロシア・ウクライナ間の停戦合意を実現し、中東紛争も収束させたいと、たびたび訴えてきた。できるだけ早く、ロシアとウクライナ双方による殺し合いを終わらせたいということも毎度強調している。出口が見えないまま、無期限に軍事援助を提供し続けるというバイデンの政策に対する忌避感だけではなく、利害不一致のために大規模な殺戮が続けられることに対する嫌悪感があるように思われるし、ノーベル平和賞を意識した言動の可能性もある。 トランプは、外交の文脈においては「アメリカファースト」という言葉よりも、「力による平和」という言葉を好んで使う。ここでいう「平和」は、第一義的にはアメリカの平和であり、アメリカが圧倒的な軍事力をもつことによって外敵からの武力攻撃を抑止することを意味するが、それはアメリカが関与している現在進行中の欧州と中東の武力紛争を終結させ、アメリカの関与を終わらせることも含んでおり、一国主
