犬になったら好きな人に拾われた。
なぜ関ヶ原の戦いは起きたのか。歴史家の安藤優一郎さんは「石田三成が首謀者として描かれるが、それは違う。野心を持った毛利輝元は無かったことにされている」という。安藤さんの著書『賊軍の将・家康 関ヶ原の知られざる真実』(日経ビジネス人文庫)からお届けする――。 なぜ石田三成が「関ヶ原の戦い」を起こせたのか 家康が会津に出陣した後、その追い落としをはかる動きが本格的にはじまる。謀主として立ち回ったのは、政界から隠退していた石田三成であった。 三成は秀吉の遺命に背く家康の動きを抑え込むため毛利輝元との連携を進めたが、朝鮮出兵時に生じた遺恨により、加藤清正たち七将から襲撃されそうになる。この一件は家康が仲裁に入ることで合戦には至らなかったが、三成は騒動の責任を取らされる形で奉行の座を追われ、政界を隠退したのだった。 三成の隠退により、連携していた輝元の政治力も低下する。家康への屈服を意味する起請文ま
2021年、宮内庁所蔵の『蒙古襲来絵詞』が国宝に指定された。発注主・竹崎季長は、文永の役・弘安の役に参加しており、絵巻はモンゴル軍の侵攻を知る貴重な史料といえる。歴史学者の呉座勇一さんは「絵巻の描写から、鎌倉武士のリアルを読み取れる」という。著書『武士とは何か』(新潮選書)からお届けする――。 蒙古襲来に関する一級史料 2021年、宮内庁三の丸尚蔵館に収蔵されている『蒙古襲来絵詞もうこしゅうらいえことば』が国宝に指定された。『絵詞』は天草大矢野家に伝来し、明治23年(1890)に同家が皇室に献納し、御物ぎょぶつ(皇室財産)となった。現在は宮内庁所蔵である。 この絵巻の発注主は、竹崎季長すえながという肥後(現在の熊本県)の武士で、文永の役・弘安の役という2度のモンゴル軍侵攻に際し防戦に参加した。後年、季長は両度の合戦での自身の活躍を後世に残そうと考え、絵巻を制作したのである。 実は、文永の役
源頼朝の斬首を取りやめた平清盛の誤算 平清盛は平治の乱で源義朝よしともを破った。義朝の嫡男である頼朝は、若年とはいえ戦闘に参加しており、斬首の運命が待っていた。 ところが清盛の継母である池禅尼いけのぜんにが頼朝の助命を清盛に嘆願した。軍記物『平治物語』によると、頼朝が夭折した池禅尼の息子家盛に生き写しだったからだというが、古代学者の角田文衞つのだぶんえいが、より政治的な事情があったことを明らかにしている(『王朝の明暗』東京堂出版、1977年)。 頼朝の母の実家である熱田大宮司家は上西門院統子じょうさいもんとうし(後白河上皇の姉)に奉仕しており、頼朝も上西門院に仕えていた。池禅尼もまた上西門院と深い関係を有していた。頼朝の母方の縁者が上西門院を通じて池禅尼に働きかけたというのが角田の推定であり、これが今では通説となっている。 ともあれ清盛は頼朝の命を助け、伊豆への流罪に減刑した。これが将来の
なぜ源頼朝と義経は対立するようになったのか 元暦2年(1185)4月25日、壇ノ浦合戦で平家を滅ぼした源義経は、京都に凱旋がいせんした。義経は得意の絶頂にあったことだろう。だが、この日を境に彼の運命は暗転する。 5月7日、義経は平家の総帥である平宗盛らの捕虜を従えて、鎌倉に向けて出発した(『玉葉』)。だが5月15日、義経が使者を派遣して翌日に鎌倉入りすると頼朝に伝えたところ、頼朝は義経に対して鎌倉入りを禁じて待機を命じた。頼朝は、自身の許可をとらず勝手な行動を繰り返す義経に深い憤りを覚えていたのである(『吾妻鏡』)。 足止めを食った義経は、梶原景時らの讒言ざんげんによって頼朝が誤解していると考え、頼朝側近の大江広元に弁明書を送り、頼朝への取りなしを求めた。これがいわゆる「腰越状」である。文面に若干の異同があるが、『吾妻鏡』・『平家物語』諸本・『義経記』などに同状は収録されている。 戦争の天
家康の名言は偽造だった! 徳川家康には「我慢の人」と「タヌキ親父」というイメージがあります。「我慢の人」で、すぐ思い浮かぶのは「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし、急ぐべからず」の名言でしょう。しかし、これは家康の言葉ではありません。 明治時代に旧幕臣の池田松之助が、水戸光圀みつくにの遺訓と伝わる「人のいましめ」を基に偽造したもので、広まったのは日光東照宮など、各地の東照宮に納めたからだとされています。また、この名言の起因となったのは、幼少期の家康が人質として今川家で苦難の日々を我慢しながら送ったというエピソードで、源流は大久保彦左衛門(家康・秀忠・家光三代に仕えた譜代家臣)の『三河物語』に行き着きます。 しかし、今川義元は姪の築山殿つきやまどのと家康を結婚させて一門に加え、今川家を支えていく重臣にするつもりでしたから、むしろ丁重に扱われていたのです。ところが桶狭間の戦いで今川義元
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