今後、経済論戦の主戦場は「バブル」の評価をめぐるものになるのではないか。そんな漠然とした予感があった。そこで一部では「バブルの教科書」とも賞賛される、竹森俊平氏の『資本主義は嫌いですか』を読んでみた。 なるほど、たしかにおもしろい。『1997年―世界を変えた金融危機』から本書を経て、最新刊『中央銀行は闘う』へと至る流れを概観すると、竹森氏の経済思想が垣間見える気がする。思想というのがおおげさなら、問題意識と言いかえても結構。では、問題意識とはなにか。経済は「不確実性」をどうあつかうべきかというものだ。 フランク・ナイトによれば、発生する確率が予想できる危険を「リスク」といい、予想できない危険を「不確実性」という。企業家は「不確実性」に挑戦することによってのみ、「利潤」を得ることができる。「リスク」だけを相手に市場で競争しているだけでは、いづれ収入の期待値は生産費の期待値にまで下がり、「利潤
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