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ブックマーク / unrepresentativeagent.blogspot.com (16)

  • This Time is the Same. - unrepresentative agent: blogging about economics

    流行に乗り遅れないうちに簡単にメモをしておく。ReinhartとRogoffが2010年に書いた”Growth in a Time of Debt”という論文がある。この論文のパンチラインは公的(つまり政府の)債務残高が大きい国は経済成長率が低いというものである。具体的には、先進国では、公的債務のGDPに占める割合が90%を超えている国の成長率は中央値(median)で年率1.6%、平均値(mean)では-0.1%である一方、 債務が90%未満の国は経済成長率が中央値で2.9-4.2%、平均値で2.8-4.1%と、ぜんぜん高いというものである。 もちろんこれは相関を述べているだけで、まともな学者であればそれをそのまま因果関係がある(特に債務が増えると経済成長率が低下する)ように解釈はしないのだが、センセーショナルな相関関係が常にそうであるように因果関係のように引用されてきた。 この研究に対

    This Time is the Same. - unrepresentative agent: blogging about economics
    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2013/04/18
    エントリのタイトルw
  • A Cross-Country Comparison of Public Debt

    の巨額の政府債務に問題はないという根拠の一つとしてよくあげられるのが、日の政府債務は主に(直接あるいは間接的に)日人によって保有されているから大丈夫だ、という議論である。では、他の国はどうなのか。常に気になっていたのだけれども、なかなか他の国について日と比較可能な数字を構築するのは簡単ではなかったので、比較ができないでいたところ、ちょっと前のTime Magazineでちょうどそのような比較がなされていたので紹介しておく。1次ソースで確認することができないので(Time Magazineだし)、どこまで正しいかは保証はできかねるが、参考までということで。 ちょっと画像が小さいので以下に数字を整理する。ちなみにデフォルトリスクの度合いはMoody'sの格付け(2011年6月時点)に基づく。上から順にリスクが高い国である。 1. ギリシャ: 政府債務/GDP=137%、国外保有債務/

    A Cross-Country Comparison of Public Debt
  • Estimating Fiscal Multiplier Using Micro Data

    前回、財政乗数、特に不況期における財政乗数の推定、における問題点のひとつはデータ数が少ないことであり、その問題を乗り越える方法の一つの方法としてマイクロデータを積極的に使うことを挙げた。今回軽く取り上げる論文("Did the Stimulus Stimulate? Real Time Estimates of the Effects of the American Recovery and Reinvestment Act," James Feyrer and Bruce Sacerdote, NBER Working Paper No. 16579)はまさにその路線の論文である。この論文の売りは次の2つである。第1に、アメリカにおいてGreat Recession対策として実施された大規模な財政支出拡大(AARP)の効果を、州(state)および郡(county)レベルのデータを使って

  • Even More on the Multiplier | Even More on the Multiplier

    今回は、Jonathan Parkerの"On Measuring the Effects of Fiscal Policy in Recessions," (NBER Working Paper No. 17240)を取り上げる。このペーペーは、これまでの財政乗数(Fiscal Policy Multiplier)の結果を整理した上で、財政乗数の計算がなぜ難しいのか、なぜ経済学者の間で大きく異なる値が主張されるのかを説明する。最後に、財政乗数をより正確に測定するための方法について提案を行って終わっている。最後の提案の部分は、彼自身の最近の研究に基づいている(というか彼の研究の宣伝ともいえる)が、面白い論点だと思う。 なぜ財政乗数の値が重要なのか?財政乗数は、政府による財政支出の拡大や減税がGDP(国民所得)にどのくらいの影響を与えるかを図る指標、言い換えれば政府による財政政策の「効果」を

  • Health Insurance and Retirement Behavior

    広義のマクロ経済学では、(1)マイクロデータ(特にパネルデータ)の充実と、(2)家計(あるいは個人)の行動のさまざまな側面をうまく捉えることのできるモデルの発展、および(3)コンピューターの処理能力の向上に伴い、家計(あるいは個人)の行動をモデル化し、そのモデルをマイクロデータを使って推定することが盛んに行われている。特にアメリカでは、高齢者・退職者の行動の分析においては、HRS(Health and Retirement Study)というデータセットがしばしば用いられている。ヨーロッパでもHRSのヨーロッパ版ともいえるSHAREというデータセットが2004年以降整備され、アメリカのような高齢者・退職者の行動についての研究の発展に役立つと期待されている(日にはHRS相当のデータセットはあるのであろうか。SHAREに参加できたりとかしないだろうか)。しばらく前に紹介したDe Nardi,

  • How to Finance Reconstruction after the Earthquake?

    東日大震災について、何かか書けることはないかと考えつづけていたところ復興のための資金をどのようにファイナンスするかという話をそこかしこで読んだ。特に、小峰さんという方が日経ビジネスに最近書いた記事は(2ページ目以降は登録しなければならないので読んでいない)とてもわかりやすく書かれていた。今回のエントリーはこの記事(の1ページ目)に触発されたものである。小峰さんの議論とぶつかる書き方をしているが、総論として反対しているわけではないと最初に書いておきたい。 まずは、恥ずかしながら、日の財政状況についての知識があまりに乏しいので、データを眺めてみた。そのままの専門用語を使って整理するとわかりにくいので、普通の家庭に置き換えて財政状況を把握するところからはじめてみる。金額もそのまま書くと大きすぎて僕のような頭ではうまく把握できないので、一般家庭の数字に近くなるように適当な数(1千万)で割ってお

  • Representative Agent Model versus Heterogeneous Agent Model - unrepresentative agent: blogging about economics

    「正しい」モデルは存在しない。コンピューターの発達によってこれまでは考えもできなかった複雑なモデルが解けるようになったとはいえ、現在の技術的制約の元で僕らができるのは、せいぜい、現実の中で重要と思われる要素だけを取り出して、それらをうまく取り込んだシンプルなモデルを作り、それらの要素がどのように相互に関連しているかをシンプルなモデルで明確にすることくらいである。 このような状況下で重要な質問は、何が「はずすことのできない」重要な仮定かということである。1970年代以降、ルーカスらの貢献によって、実行されている政策を考慮に入れた上で消費や投資に対する決定を行う消費者や投資家の行動をきちんとモデル化しないと、政策が変更されたときに消費者や投資家の行動がどのように変わるかについてうまく予想することができないことが認識された。この認識が共有されたによって、いわゆる現在のDSGEモデルにつながる「最

  • Real Wage Rigidities and Recovery from the Great Recession

  • Public Sector Pension Plans and Behavioral Economics

  • Tragedy of International Economics

    ポスト数稼ぎのため、いつもと趣向を変えて、エッセー風に書いてみる。 ちょくちょく読ませていただいている(というか日語では唯一読ませていただいている)himaginaryさんがなぜ国際マクロ経済学者はよりケインジアンになるのかと書いていた。このことについて100%個人的な見解を書いてみたい。この見解は国際経済学をやってる友人からインスパイアされたものである。 普通のマクロ経済学と国際(マクロ)経済学の一番大きな違いは、「価格」を無視できる幸運に恵まれたかということにあると思う。 (国際でない)マクロ経済学において最も重要な変数は何かと聞かれれば多くの人は「(一人当たり)GDP」と答えるであろう。これは、「数量」変数である。他に重要な変数として挙げられるものとして、消費、労働供給、雇用、などがあると思うが、これらは皆数量である。つまり、マクロ経済学において重要なのは「数量」なのである。 一方

    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2011/02/14
    unrepてんてーの講話。
  • How to Deliver Fiscal Stimulus?

    またしてもものすごい期間が開いてしまった。こんなに続けるのが難しいならやめてもいいかという気にもなってくるのだけれども、ちょっと各エントリを短くするなり、小さな話を書いたりして続ける努力をしてみよう。 今回はごくごく簡単に、Sahn, Shapiro, and Slemrod, "Check in the Mail or More in the Paycheck: Does the Effectiveness of Fiscal Stimulus Depend on How It Is Delivered?" (NBER WP 16246)に触れてみる。lump-sum方式で景気刺激を行う場合、Ricardian Equivalence(RE)が成り立っている状況であれば、(割引現在価値ベースで見た)総額が変わらなければ、どのように景気刺激を実施しようが違いはないはずである。但し、実際には

  • Small, Large, or Young?

  • More on Fiscal Multiplier

    最近のEconomistでも書かれていたが、経済学者間の間で合意が形成されていない問題はいくつもある。その中でしばしば注目されるのは、財政政策の効果と、金融政策の効果であろう。前にも(何度も)書いたけれども、アメリカにおいてGreat Recessionと呼ばれた大規模な経済停滞、イギリスで実施に移されつつある大規模な財政引締めを受けて、財政政策の効果についてはさまざまな議論がなされている。 財政政策の効果という問題は四重の意味で難しい。一つには、例えば財政支出を拡大したときにGDPがどのように反応するか(Fiscal Multiplier)の大きさについて、経済学者の間で意見が一致していない(Barroのようにゼロ(つまり財政政策にGDPを引き上げる効果はない)という人もいる一方、Christina Romerは1.6(つまり、1ドル財政支出を増やせばGDPは1.6ドル増加する)という高

    prisoneronthewater
    prisoneronthewater 2010/11/02
    でも実証研究やるとこうなっちゃうんだよなぁ。ZIRPコミットが信頼されている下での財出効果のデータって将来集められるのかなあ。
  • Cheap Credit Caused House Price Boom? - unrepresentative agent: blogging about economics

    今回アメリカに起こっている景気後退は、大きく分類して次の3つの質問を投げかけたと理解している。 なぜ住宅価格が大きく上がり、そして大きく下落したか。なぜ住宅価格の暴落が金融セクター全体に影響を及ぼしたか。なぜ金融セクターの問題がマクロ経済全体にあれだけ大きな規模で波及したか。もちろん、上の3つの質問は相互に関連しているという面もあるだろう。3は主にマクロ経済学者に対する宿題、2は主にファイナンス系の人への宿題、1はどちらからも考えられる問題といえる。今回は1に注目する。今回の景気後退に関しては、住宅価格の動きが問題となっているが、一般的に他の資産価格の動きについても1に対する分析は当てはまる。現在1に対する答えとして、主に次の2つが挙げられている。 (1) Cheap credit (安易・安価な住宅ローン):低金利や、住宅ローン貸出の際の審査のゆるみ、住宅購入の際に必要な頭金が減ったこと

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  • Wage Risk and Employment Risk - unrepresentative agent: blogging about economics

    マクロ経済指標ばかり見ていると忘れがちなことであるが、GDPの変動は個々人の所得の変動に比べるととても小さい。GDPを国内に住む人の平均所得として捕らえると、GDPの変動は平均的な所得の変動と言い換えることができるが、その平均的な変動幅はせいぜい毎年2%くらい(これはトレンドを除去した実質GDPのstandard deviationである)である。歴史上まれに見る景気後退を経験した2009-2010年でも、GDP成長率は最低であった2009年の中ごろで前年同期比約4%の下落であった。その一方、個々人の所得の変動は平均で毎年15%近いという推定値がある。歴史上まれに見る景気後退期でも平均所得の下落幅は、通常の個々人の所得変動の1/3程度でしかないのである。 このような問題意識を背景に、マクロ経済学では、1990年頃以降、個々人が抱えるリスク、特に個々人の所得に関するリスクに関する研究が理論、

  • (Passively Trying to) Defend Economists

    ブログ論について書くのはぜんぜん生産的ではないのだが、一言だけ。 リッチモンド連銀のエコノミストであるKartik Athreyaが書いたエッセーが話題になっていたようだ。全然しらなかったがhimaginaryさんのポストで知った。元のエッセーを読んだわけではないのだが、おそらくは、(マクロ)経済学の専門的なトレーニングを積んでない人が言いたい放題のブログ界への不満を述べたんだろうと推測される。(いかにも経済学者的で)どっちつかずで情けないが方向性の違ういくつかの感想を持ったので書いておきたい。 一つ目は、専門家でも専門家でない人でもブログで経済(学)についてからいろいろ語るのはこれからも大いに行われてほしいと思う。世の中で起こっている経済現象や話題になっている論文・エッセーなどが迅速にかつ大量に耳に入って来るのは活発なブログ界あってこそである。こんな状況は例えば5年前には考えられなかった

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