■画期的な判決 大分地裁大分県立の高校で2009年に起きた熱中症死亡事案において、ついに教員個人の賠償責任が認められることになった。学校事故の裁判において、教員個人が賠償責任を負うという判断が下されるのは、きわめて異例である。 2009年8月のこと、大分県立の高校において剣道部の練習中に、主将の工藤剣太さん(当時2年生)が熱中症により倒れ、帰らぬ人となった。 剣太さんは練習時に意識がもうろうとする様子が確認されているにもかかわらず、顧問はそれを「演技じゃろうが」と言って救護することもなく、さらには剣太さんの横腹を蹴ったり、倒れた後も剣太さんの上にまたがり往復で平手打ちを続けたりした(以上は、裁判所が認めた事実)。私が知る限り、教員から生徒へのハラスメント・暴行事案のなかでは、もっとも凄惨な部類に入るものである。 これほどまでに凄惨な出来事であるにもかかわらず、後述するように、本事案は形式的
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