オオカミ男による虐殺を描いたルーカス・クラナッハ(父)による版画。(METROPOLITAN MUSEUM/SCALA, FLORENCE) 1589年10月31日、ドイツのケルン近郊にある町ベートブルクで、大群衆がある男の処刑を見届けた。その男はペーター・シュトゥンプという50歳の農民で、悪魔と契約を結んだことを告白していた。 悪魔との契約でシュトゥンプが望んだのは、金持ちになることではなく、オオカミ男(人狼)になる能力を手に入れることだった。そして複数の人を殺し、その肉を食べた。殺害した16人のうち13人は子どもだった。そのうち1人は自分の息子で、その脳を食べたという。さらに、自分の娘やサキュバス(美しい女の姿をした悪魔)と性的な関係を持ったことも認めた。処刑について記述した史料にはこのように記されている。「いまだかつて、この犬の姿をした悪魔に匹敵する者はいない」 処刑は残忍な方法で行