森見登美彦氏の第十子『ペンギン・ハイウェイ』が日本SF大賞をもらうことになった。 この栄誉はあくまで我が子のものであって、登美彦氏などはほんのオマケに過ぎない。だからあまり親がしゃしゃり出て、自慢げにしてはいけないのである。 他の作品とちがって腐れ大学生でもなく京都が舞台でもなく、なんとなく仲間はずれで淋しそうにぷるぷるしていた我が子が、今ここに大きな賞で認められて、少し落ち着いてシャンとしてきた。 登美彦氏はただそのことを喜んでいる。 なお『ペンギン・ハイウェイ』は、スタニスワフ・レムの『ソラリス』を読んだ感動から生まれ落ちた作品であって、『ソラリス』がなければ『ペンギン・ハイウェイ』はなかった。 スタニスワフ・レムという雲の上の大作家から見れば「トミヒコ氏?ダレそれ?」となるに決まっているし、また『ペンギン・ハイウェイ』は登美彦氏が書いたものなのだから『ソラリス』とぜんぜん違うものであ