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ブックマーク / med-legend.com (18)

  • 医学都市伝説 | ベポラップは本当に風邪に効く、らしい

    この季節になると風邪を引く人が多くなり、私らのような科でも風邪薬を要求されることがしばしばある。 一般的に「風邪」と言っても、インフルエンザや、細菌性の肺炎、喘息、更には循環器疾患の初期症状であることもあり、馬鹿には出来ないのだが、この辺の見極めはおのずから「見た感じ」で分かる物で、不思議なことにこの判断はまず外れることはない。 どんな科を専門にしていても、さまざまな症状の向こう側にたなびいている「陰の気」みたいなものを感知する力は付いてくるもので、あまり経験とも関係ないような気もする。勿論、このような不確かなものにすべてを委ねているわけではなく、基的なチェックを積み重ねるのは当然のことである。しばしば忘れるけど。 それを前提にして、「大したことがない」のが分かりきっている風邪引きの人にどう対応するのかというのは、結構我々を悩ますものだ。私が初めて市中病院で仕事をするようになった頃、職員

  • 医学都市伝説 | 良い誤診、悪い誤診

    昔々、どこやらの内科教授が引退するときに、自分の誤診率を30%だったか、もうちょっと低かったか忘れたが、そのぐらいだと発表し、世の医療関係者はその低さに驚嘆した、なんて話をよく聞かされた。 今なら診断手段が格段に進歩しているので、身体疾患になった人が大病院でごちゃごちゃと検査を受ければ、まず誤診率は0%になるだろう。ちゃんと診断がつくことと、治療ができると言うこと、ましてやその病を持った人が苦しみから解放される、と言うことはまったく別の話ではあるものの。 精神科医療の領域では、昔はこの「誤診」はそれほど問題にならなかった。言うならば分裂病群とうつ病群、そして神経症群の3つ位しかないのである。アミダくじで決めたって、イチローの打率を越える結果がでる。 分裂病に関しては、あんまり言語化されないようなフィーリング診断が決め手で、言うならばこのフィーリングを感じ取れるかどうかが精神科医の専門性なの

  • 医学都市伝説 | 「白菜」ダイエットによって昏睡を来した一例

    88歳の中国人女性が家族に連れられ救急外来を受診した。彼女は3日前から嗜眠的となり、歩行や摂が不可能になったということだった. この女性はここ数ヶ月、糖尿病のコントロールのため、一日1~1.5kgの生の”Bok Choy”(白菜)をべていたと言うことだった。なお、今まで甲状腺疾患の既往はない。 診察時、患者は嗜眠状態で、体温は36.1℃、脈拍は58/分、血圧は181/89mmHg, 呼吸は22/分、血液酸素飽和度は92%であった。 眼窩周囲には浮腫があり、巨舌が認められたが、甲状腺は触手不能であった。下肢にもまた浮腫があり、皮膚乾燥、毛髪の荒れも目立った。 神経学的検査では右下肢にクローヌスと反射亢進が認められたが、これは以前の脳卒中発作によるものと思われた。他の所見は正常であった。 血液検査では著明な低Na血症(118mmol/L)と甲状腺刺激ホルモンの高値(74.4mIU/L;正

  • 医学都市伝説 | iPad入手

    昨夜、注文していたiPadが発売日当日に配布出来ると、ビッグカメラから連絡がある。その時は「ああそうですか、三日以内には伺います」と、努めて無関心を装いつつ、結局今日になれば、昼休みに職場を抜け出し、一路受け取りに向うのだった。 受け渡しコーナーには予約の時より人の数は多かったものの、客はせいぜい10人程度である。しかも、待っていた人の半分以上は当日客のようで、それと同じラインに並ぶため、結局一時間近く待たされてようやく現物が手に入る。この前の購入予約は殆ど無意味だったことになる。アホみたい。 新しもの好きの出鼻をくじかれた格好で、いささかiPadに対する期待までしぼむのだが、実際に触ってみると、確かになかなかの物件である。問題は液晶キーボードで、Google携帯を買った時にはあまりのキーボードの小ささに文字入力を諦めたほどなのだが、こいつは殆どリアルキーボードと同じ大きさだから大丈夫だと

    pub99
    pub99 2010/05/28
  • 医学都市伝説 | ラミクタールはすごい薬だ

    今日の日付の「Kyupinの日記」に、解離性障害患者の治療経過が書いてあり、その中で「全く、ラミクタールは凄い薬だよ」と記されてあった。ほんと、ラミクタールはすごい薬で、今まで仕方なしに放置するしかなかった状態をかなり解決してくれると私も思う。 私はkyupin先生とは微妙に薬の使い方が違うのだが、この点ではまったく同意見である。滅多に製薬会社のMRさん(まあ、セールスマンみたいなものだと思ってください)と話すことのない私も、ことラミクタールに関しては、「これほど効く薬は見たこと無いよ」とおベンチャラを言ったことがあるほどで。 いわゆる双極性感情障害、昔の言い方なら躁うつ病であるが、その感情不安定性には抗うつ剤そのものが関与していると言うEBM認識が広まったのはここ最近のことだ。しかし、リチウム製剤やデパケン、エクセグラン、テグレトールという抗てんかん薬系の感情安定化薬の使用が一般化した後

  • 医学都市伝説 | 非国民症候群

    もう30年近く前の事になるだろうか、当時私はある関西片田舎地方の自治体病院で働いていた。そのころ、ある共通項でくくることが出来そうな一群の人々を見ていて、地方学会あたりで発表しようかどうかと考えていた症例群があったのを思い出した。 数例あった筈なのだが、いま思い出せるのは2例程度だ。草稿は書いたがなんとなく発表がためらわれ、どこかに行ってしまった。時代的な制約もあり、おそらくこのようなまとめ方が出来る人々を見ることはもうないだろう。そのまとめ方にもかなりの異論があって不思議ではないが、当時そのような理解の仕方をしていたことは確かに意味があったと思うのだ。 そもそも、上に掲げた「非国民症候群」というのを読んだだけで、平和と民主主義の時代に、なんというふざけた保守反動イデオロギーを持ってくるのだと、非難されても仕方がない。しかし、言いたいことは、間違った方向に進んでいた時代に、そこからの「逃げ

  • 医学都市伝説 | 未だアスペルガー・ADHDを知らず

    スミルノフ先生のブログでこういう記事が紹介されていたので読み、今でもこうした「社会が障害を規定する」というような考え方が生きているんだなぁと感心する。スミルノフ先生の論調は、それに対する「はてブ」コメントに、フーコーやら中井久夫についての言及がやたらに多い事への感想に移るのだが、全くその思いには同意するしかない。 ホント、疾患の社会性なんてテーマで中井やフーコーを出してくるってどんな連中なんだよ。お前らみんな人文社会系の研究者か、と言いたくなる。私も短い間医学部学生を教えていたことがあるが、そこそこの偏差値が要求される筈の医学生に、社会歴史関係の結構有名な学者の名前やその学説を紹介しても、当惑以外の反応が返ってきたことはない。 しょうがないので、症例として漱石なんかを出すがそれもダメ。大衆文学なら良かろうかと、大量殺人の関連で、横溝正史の「八つ墓村」を例に出してもきょとんとしている。連中に

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    pub99 2010/01/28
    「臨床をちゃんとこなして行く上では、つまらん人文社会系耳学問なんぞはかえって邪魔になる事の方が多い」
  • 医学都市伝説 | 病院機能評価

    職場で「病院機能評価」なるものが進行中で、普段の仕事など放り出しての大忙しである。業界人ならご存知だろうが、この「病院機能評価」は現場の医療従事者には悪評フンプンなのだが、経営者や管理的立場にある部分からは、それこそ神の恩寵のごとく崇められ、魂を売ってでも得たがるものである。そう商売につながるとも思えんのだけどね。 それを行う日医療機能評価機構というのは、私に言わせれば何のことはない、古手の医療関係者たちの天下り組織みたいなもので、やっている事は要するに「タカリ」行為とも言える。医療と言うものは治療者と患者の二者関係が何より基なので、マニュアルがあるのないの、壁に病院理念を書いたものが張ってあるのないのといった、しょうもないことにイチャモンつけられたって、シンボリックな意味しかないのである。 かなりの大金を出して、そうしたイチャモンを受け入れ、評価認定して貰いたがる理由が分からない。も

  • 医学都市伝説 | 有名人の知り合いを装うのはやめたほうがいい

    他者に自分を印象づけようとして、有名人とのつながりを強調すると言うのはよく行われる戦術の一つである。著名な人との密接な関係を主張することで、その人の来の能力や魅力以上のものが相手に伝わるに違いないと人は期待するのだが、果たしてこれは効果的な戦術なのであろうか。 チューリッヒ大学の心理学研究者によると、この「有名人と知り合い」戦術(英語では”name dropping”と言うそうな)は無効であるばかりでなく、その人来の好印象の可能性をも損なう悪手であるという。 研究者たちは被験者となる学生たちへに二種類のバージョンがあるメールを送った。一つはメールの送り手がテニス選手のロジャー・フェデラーの熱心なファンであると自己紹介するもの。もう一つは自分はフェデラーの親しい友人であると言うものである。それぞれのメールを受け取った被験者たちとの面接の後、その際の第一印象を聞き取り調査し、結果が分析され

  • 医学都市伝説 | 斜めに寝るのはボケの兆候?

    昨年暮れのBMJクリスマス特集論文集の中から、これを紹介するのを忘れていた。原題は”Lying obliquely—a clinical sign of cognitive impairment: cross sectional observational study“(認知障害所見としての斜め寝:横断的観察研究)、ヴュルツブルク大学神経学講座の研究者によるものである。 研究の主眼は、自発的にベッドに横になったとき、ベッドの縦軸との角度が大きくずれて、斜めになって寝てしまう老人患者には、認知障害があるのではないかと言う事を確かめる事にある。 論文著者たちは神経疾患で入院中の60歳以上の患者110例について、寝ている時の姿勢をデジタルカメラで撮影し、体軸の角度を測定した。全く別の研究者によって彼らに三種類の認知能力テスト(MMSE・DemTect・時計描写テスト)が行われ、それぞについて寝て

    pub99
    pub99 2010/01/11
    「斜め徴候」の認知障害スクリーニングへの適応に関して
  • 医学都市伝説 | Ghost in the shell症候群

    正月早々、院内各科回り持ちで行われている研究会の順番が回ってきてしまい、演題を出せと迫られたので仕方なくレビー小体病を題材にすることにした。一般身体科の医師たちには精神療法的なテーマより、脳の器質的障害が明らかな疾患について話す方が良かろうと思ったからである。 レビー小体病と言うのは以前にも触れたことがあるが、今までアルツハイマー病と一緒くたにされていた一群から、日の研究者が別疾患として取り出したという経緯がある。まず、死後の解剖によって、神経病理所見が積み重ねられ、症状レベルでの診断が可能となり、薬物的介入も出来るようになった。 正直言って、不勉強な私がこの診断名を知ったのはほんの5年前で、それまではアルツハイマー病の中にはちょっと変わった症状と経過を示す一群があるなあと言う、漠然とした印象を持っていただけだった。疾患単位として一度認識すると、これには様々なバリエーションというか、スペ

  • 医学都市伝説 | CPRには「象のネリーさん」が一番

    毎年楽しみにしているBritish Medical Journalのクリスマス論文特集であるが、どうも二~三年前に有料化してからと言うもの、もう一つはじけたものがない。といいつつ、ネタも無いのでひとまず紹介。 幾つかある中で、一番伝統的路線を守っているのが、CPR、いわゆる心肺蘇生術として行われる「心臓マッサージ」をするとき、どんな音楽を流すと効率的か、という内容の論文。 130人の非医療従業者ボランティアに、訓練用ダミーを使って心臓マッサージをやってもらい、その際、音楽なし、童謡「象のネリーさん」、ディスコ曲”That’s the way i like it“を流すというのを順不同に行い、その効率をみると言うもの。 心マは一分間に約100回の頻度で、一定の力をかける必要があるが、どの条件が最も効率的だったかというと、「象のネリーさん」だったと言うのが結論。音楽なしと”That’s the

  • 医学都市伝説 | 前立腺アルファベット

    米国オリンパス社が5年前から毎年開催しているバイオ科学系顕微鏡写真コンテスト、オリンパス・バイオスケープの2009年度入賞者が先ごろ発表された。 1位となったのは、ドイツの動物学者、ヤン・ミケルス博士によるミジンコの写真である。スターウォーズにこんなのが出てこなかったけと思わせるユニークなものだが、私が一番気に入ったのが佳作に入った左の写真。 フィリピンのマー・アイヴィ・クレメンテ博士による、肥大して繊維腫化した前立腺の管腔構造が構成するアルファベットを撮ったもの。一部は少し苦しいものもあるが、ちゃんとAからZまでそろっている。何より、クリスマスカードとか、年賀状作成には最適の素材となるんではないでしょうかね。 惜しむらくは数字がないのが難点だが、2はNを90度回転させ、0と1はOとIの使いまわしでいけば、来年の年賀状は何とかなりそう。前立腺がどうの、というキャプションは省略した方がよろし

    pub99
    pub99 2009/11/24
  • 医学都市伝説 | 医学隠語としてのドイツ語

    ツイッター経由で「医療者間で使われるドイツ語隠語の造語法に関する考察」(注:PDF)なる論文を知り、一読。今の時代、どこまでドイツ語が医学業界内で隠語として機能しているのか、私は多少疑問であるが、この論文によれば結構生き残っていると言うことである。 看護大学の教官が書いた論文と言うことで、看護婦さんの間で今も使われているものを主に集めたようであるが、確かに医師よりは看護師用語として使われることの方が多いかもしれない。最近は慣れたが、看護婦さんから「Aさんの家族にムンテラお願います」といわれるたび、いまだに少し狼狽えるものなぁ。 私らが研修医だった頃は「ムンテラ」と言う言葉は、今とはちょっと違う意味で使われていた。これはドイツ語の口=Mundと治療法のテラピーを組み合わせ、「口療法⇒言葉で説明して安心させる」というような意味で、それも「適当にその場限りの言葉でごまかす」という素人蔑視のニュア

  • 医学都市伝説 | 分裂病者の時間体験

    愛読ブログであるKyupin先生の日記に「患者さんの過去の出来事について」という記事がアップされていた。分裂病(ゴメン、私はどうにも「統合失調症」という間抜けな病名に馴染めない)の患者さんが、とんでもなく昔のトリビアルな記憶について、脈絡なく話しだすことがあると指摘しておられる。 確かにそのとおりであるが、それについての考察があるかと期待したが、「単純に考えれば『思考の障害』であろうが、ある種の『認知の障害』と言うこともできる」と言う指摘のみで、さらりとまとめられていた。Kyupin先生のことであるから、これをもっと追求していたら、かなり面白い議論が展開されたのではないかと思った。そこで力不足ながら、私がそれを幾分なりともやってみようと思う。 私がはじめて、分裂病者の体験には時間的な軸に大きな変容があるのではないかと思ったのは、まだ研修医のころだ。初発の患者さんや、慢性期ながらなお活発な異

  • 医学都市伝説 | 医療従事者の悪ふざけは許されない?

    英国ウィルトシャー州スウィンドン市の総合病院の救急病棟スタッフ18名が、夜勤の際に病院のあちらこちらでうつ伏せに寝転がった写真を取り合い、それをFacebookにアップロードしていたことが発覚、メンバーのうち7名が停職となっている。(夕刊紙サンより。写真はこの事件とは関係ないというコメントあり) 医師と看護師からなるこのグループは、救急カートの上や、ヘリポートに伏せ寝している姿を写真にとってFacebookの「スインドン秘密救急科グループ」というサイトにアップロードしていた。 同僚からの通報でこれが管理当局に知られることになり、これらの写真は削除された。メンバーたちは今年初めからFacebookに写真をアップしていたが、次第に競い合って、特別な場面での写真を撮ってアップするようになっていたという。 院長のアルフスロートン医師はこう語る。「専門職にはあるまじき行為のために、数人の当事者を停職

  • 医学都市伝説 | 精神科医療の「現場」性

    最近、ある同業者のブログにハマっている。もっぱら精神科薬物療法についての記述が中心のブログで、なかなか教えられることが多い。多分、何度かこちらのほうにもコメントをいただいた方ではないかなと思ったりするが、全然違うのかもしれない。 「教えられることが多い」と書いたが、その方の薬物療法手順をスタンダードにすべきだと思ってるわけではない。むしろ、「私はこういう使い方はしないなぁ」と感じることの方が多いのである。その方は結構漢方や民間療法も援用されるのだが、私はまず、と言うより絶対使わない。 漢方は「眠くならない風邪薬」として使うことがたまにあるぐらいで、精神症状に使うことはない。ハーブなどの民間療法も、患者さんか使いたいときに見て見ぬふりをする程度で、自分でそれを勧めたりすることはしない。 昔は、例えば「咽頭異物感症」の時に半夏厚朴湯を使うようなこともしてみたが、やはりメリットがそうあるわけでも

  • 医学都市伝説 | 筋弛緩剤ようやく薬名変更

    「類似した名称の別の薬と取り違えるミスで死亡事故も起きていた筋弛緩(しかん)剤『サクシン』(製造販売・アステラス製薬)の商品名が変更されることになった。取り違えやすい類似名称の薬はほかにも多数報告されているが、厚生労働省によると、ミス防止のため、すでに販売されている薬の商標を変更するのは異例という。 サクシンは麻酔時に使われる筋弛緩剤で、呼吸停止を起こしやすく、毒薬に指定されている。1955年の販売開始以来、半世紀以上にわたり使われてきた。名称の似た抗炎症剤『サクシゾン」(同・興和)の販売が71年に始まると、医療現場で取り違えが発生し、問題視されていた。 昨年11月、徳島県鳴門市の健康保険鳴門病院で、サクシゾンと間違えてサクシンを点滴された男性患者が死亡する事故が発覚。厚労省が誤投与防止を全国に通知し、メーカーも医療機関に注意喚起した。しかし、『ミス防止策として不十分』との指摘もあり、より

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