高校世界史深掘りシリーズ。またしても経済史になるが,こういうネタは経済史の方が拾いやすいというのはある。18世紀後半から19世紀前半にかけて,イギリスでは産業革命が起きているが,その前段階として農業革命も起きている。 農業革命とは,狭義には農業技術の革新である。細かく言えば農具の改良や土壌改良手法の確立等もあいまって全般的に改良されたようなのだが,高校世界史上でも取り上げられる最大の革新は,三圃制農業が四輪作農法(ノーフォーク農法)に切り替わったことであった。すなわち,輪作の周期に窒素固定を行うマメ科の植物(の根粒菌)を入れることで地力の回復を早めつつ,家畜用作物も生産することができるようになった。これによって休耕地が消滅し,穀物が増産され,同時に畜産物の肥育も容易になった。近代的混合農業の始まりである。 こうした農法の切り替わりは農村のあり方に波及することになる。イギリスの農村ではそれま