よみがえった隠れた傑作 1970年代後半から80年代中期に描かれた藤子・F・不二雄のマンガ『T・Pぼん』は、長らく隠れた傑作として知られた作品だった。それがこのたび、約40年の時を経てNetflixでアニメ化された。5月にシーズン1の12話が、7月に完結編となるシーズン2の12話が公開された。 大ヒットとまでは言えないものの、そのクオリティは藤子F作品のアニメ化としては最高水準と言っても過言ではない。しかも今回のアニメ化で特筆すべきは、未完のまま終わった原作のテーマをより明確にさせたことにある。 藤子Fにとっての『T・Pぼん』 物語の主人公は中学生の並平凡(なみひら・ぼん)。「並・平凡」を意味するその名が示す通り、彼はごく平凡な少年だ。ある日、思いがけない出来事から「タイムパトロール」という特殊な仕事に就くことになる。そして、先輩隊員のアメリカ人・リームの指導のもと、彼は歴史上の名もなき人