安政二年十二月二十五日(1856/2/1)~の数日前 <次郎左衛門> 「あーもう面倒臭えなあ、あそこ息が詰まるんだよ。魑魅魍魎(ちみもうりょう)が跋扈(ばっこ)するっていうの?」 「なに21世紀の人間が非科学的な事を言ってんだよ」 「いや、いま令和じゃねえし、21世紀でもねえし……」 信之介達と次郎のとんちんかんなやり取りの後、四人は真剣な話に入る。 「で? ジロちゃん、何て言ってきたの?」 「別に何も。色々と聞きたい事があるゆえ登城せよ、としか聞いていない」 お里の言葉にげんなりしながら次郎は答えた。 「うーん、意味深だな? やっぱり北海道の開発が関係してるんだろうか」 「可能性大だろうな。そもそも領地って何なん? 幕府が勝手に取り上げたり変えたりできるん?」 一之進の問いかけに信之介も続く。 「うーん、まあ何だろう。地方自治を任せているだけで、将軍の物? 的な意味あいが強いのかも知れん