同じ姓にしなければ結婚できない制度に対し、最高裁が6月、再び憲法違反ではないと判断しました。結婚すると夫の姓になる人がほとんどで、「○○家の嫁」という意識はいまも残ります。それはなぜか。家族法が専門の立命館大学の二宮周平教授に聞きました。 ――「家」はどのように生まれたのでしょうか。 「家を制度として制定したのは1898年の明治民法です。明治初期につくられた戸籍制度を完備するために、家長である『戸主』を届け出の責任者にするという発想が生まれました。議論の中で、開明派からは『戸籍法は封建時代には必要だったかもしれないが、今日の政治体制では無用のものである』と戸籍の廃止を主張する声もありました。それに対してある行政官は、『戸主が一家の責任を負い、老人や子どもを扶養し、家族の倫理を守っている。戸籍にはこうした家族のあり方が示されているのだから、廃止すべきでない』と反対します。戸籍は単に身分関係を