大阪大学の中森雅之特任講師らの研究グループは、神経細胞の遺伝子の異常で起きるハンチントン病の治療につながる低分子化合物を開発した。生体が備える遺伝子修復の仕組みを引き出し、病気の原因となるDNAを切り取る。他の神経の難病にも応用できるとみており、企業と協力して実用化を目指す。 ハンチントン病は脳の神経細胞のDNAの一部が長く伸び、異常なたんぱく質が作られ凝集して発症する難病だ。意思とは関係なく体が動いてしまうほか、認知機能の低下や人格変化など様々な症状が起きる。患者は国内に約千人いるとみられ、根本的な治療方法はない。 研究グループはDNAの長く伸びた部分だけにくっつく低分子化合物を開発した。分子がDNAにくっつくと、もともと備わっている修復機構が働いて長くなった部分を切って短くする。患者由来の培養細胞や病気のモデルマウスの脳内に投与したところ、狙い通りにDNAが短くなり異常なたんぱく質の凝