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  • 失われた短編を求めて――ボルヘス唯一の未訳短編「シェイクスピアの記憶」について - 機械仕掛けの鯨が

    ホルヘ・ルイス・ボルヘス。アルゼンチンが生んだ二〇世紀の世界文学上最大の作家の一人で、「知の工匠」「迷宮の作家」等の異名を持つ巨匠である。日本でも大変人気があり、現在では岩波文庫に著作の多くが収録されている。 さて、彼の作風の最大の特徴は、生涯を通して短編小説しか著さなかったことだ。一番長い作品でも、日本語訳で二〇ページほどしかない。だが彼の短編から喚起されるイメージは、迷宮、鏡、無限、架空の書物等々といったモチーフによって増幅され、長編小説にも匹敵する物となる。 短編集としての代表作『伝奇集』は岩波文庫で刊行されているほか、『砂の本』『ブロディーの報告書』『アレフ』など、彼の主要な短編は、短編集としてほとんど邦訳されていると言ってよい。 だが一作だけ、邦訳されていない作品がある、と言えばどうだろうか。その存在は、ペンギン・ブックスから刊行されているボルヘスの全短編集に記載されている。題は

      失われた短編を求めて――ボルヘス唯一の未訳短編「シェイクスピアの記憶」について - 機械仕掛けの鯨が
    • 寝る前の眠れなくなるボルヘス『記憶の図書館』

      「もし愛だと言われなければ、抜き身の剣と思ったことだろう」 ボルヘスが記憶の底から汲み出したセリフだ。キプリングの短篇に出てきたという。驚くべき言葉だ。この一行は、私に<届いた>。 ボルヘスは続ける。驚くべきは形式だと。 もし、「愛は剣のように容赦がない」と直喩で言ったなら、何も言ったことにならない。あるいは、愛を武器に喩えたとしても同様になる。もちろん、愛と抜き身の剣を取り違える人なんていない。 ただ、ありえない混同が、想像力にとってありえるものになり得る。しかも、文の構造のおかげで、混同が起こっている。なぜなら、「最初はそれを剣だと思ったが、やがて愛なのが分かった」と言っても馬鹿馬鹿しいものになる。 確かに、ボルヘスの指摘する通りだ。このセリフは、このシンタックスでないと成立しない。ちょっとでも言い換えたり、構造をいじっても、私には届かなくなる。「もし愛だと言われなければ、抜き身の剣と

        寝る前の眠れなくなるボルヘス『記憶の図書館』
      • J.L.ボルヘス「シェイクスピアの記憶」 拙訳|rollstone

        ペンギンブックス版のボルヘス全著作集(Andrew Hurleyにより英訳されたもの)を、ここ数年ぱらぱらと読んでいるのだが、巻末に収められた短篇 Shakespeare's Memory を日本語で読んだ覚えがどうもない。そこで調べてみると、やはり未訳であるとのことだった。遺作(なのかどうかはわからないけど)が未訳となっている理由については、鯨井久志さんの記事「失われた短編を求めて――ボルヘス唯一の未訳短編「シェイクスピアの記憶」について」に詳しい。ここで書かれているとおり、この短篇が日本語で、正当な手続きを踏んで(つまりプロの翻訳者が責任ある出版社を介して仕事をし)発表されるという見込みは、ずいぶん薄いようだ。鼓直先生に、どうか安らかな眠りがありますように。 そこで、まあ、やることにした。わたしはべつに翻訳者ではないし、どうやっても構文が理解できない部分がみっつくらいある。もとにしたテ

          J.L.ボルヘス「シェイクスピアの記憶」 拙訳|rollstone
        • J.L. ボルヘス『伝奇集』(岩波書店)、『不死の人』(白水社)、『ボルヘス詩集』(思潮社)、『論議』(国書刊行会)、『エル・アレフ』(平凡社)他 - 野谷 文昭による作家論/作家紹介 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

          J.L. ボルヘス『伝奇集』(岩波書店)、『不死の人』(白水社)、『ボルヘス詩集』(思潮社)、『論議』(国書刊行会)、『エル・アレフ』(平凡社)他 思考の笑い ボルヘス生誕百年によせて十九世紀末、一八九九年生れのボルヘスは一時期、自らの生年を一九〇〇年と公言していたという。古典志向という印象が強い作家だが、二十代の初めには新奇さを求める前衛詩の運動に参加していたことを考慮すれば、新時代を感じさせる年号にこだわったとしても必ずしも不思議ではない。 そのボルヘスが生れて今年は百周年にあたるため、彼の遺品を展示する巡回展や記念行事がヨーロッパを中心に開催され、八月二十六日の誕生日にブエノスアイレスで催される一連のイベントでクライマックスを迎えるようだ(ALL REVIEWS事務局注:本論考執筆時期は1999年)。 同じく今年生誕百年を迎えるヘミングウエイ、ナボコフ、川端康成にはそれぞれ『老人と海

            J.L. ボルヘス『伝奇集』(岩波書店)、『不死の人』(白水社)、『ボルヘス詩集』(思潮社)、『論議』(国書刊行会)、『エル・アレフ』(平凡社)他 - 野谷 文昭による作家論/作家紹介 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
          • ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「Mind Tree」(3)- 「偉人の生涯を編集」する文学的悪戯が、文学的出発点に - 人はどのように「成長」するのか  「心の樹-マインド・ツリー」という方法とアプローチ

            好んで読み返していた「短編小説」。最初の短篇小説の執筆には6年かかる ▶(2)からの続き:ボルヘスは「短編小説」のスナイパー、名手です。それはボルヘスの読書スタイルの傾向と習慣の結実でもあります。ボルヘスがつねに読み、好んで読み返していたのは「短編小説」で、長編小説は義務感にかられたので読んでいたといいます。研ぎすまされ磨かれた言葉の使用と節約術はボルヘスを感嘆させ、もしその短編が見事な起承転結をもっていればボルヘスを驚喜させました。キップリング、チェスタートン、エドガー・アラン・ポー、ヘンリー・ジェームズ、ホーソン、コンラッド、スティーブンソン、レーン版の『千夜一夜物語』の作品は、ボルヘスの宇宙のとりまきになり、欠かせない心の友になりました。 そんなボルヘスも長い間、短編小説は自身の手にあまるものだとおもっていたといいます。28歳に3〜4カ月かかって書きあげた短篇『男たちは戦った』は、う

              ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「Mind Tree」(3)- 「偉人の生涯を編集」する文学的悪戯が、文学的出発点に - 人はどのように「成長」するのか  「心の樹-マインド・ツリー」という方法とアプローチ 
            • トークライブ「ボルヘスの映画迷宮」ゴダール、ベルトルッチ、クリストファー・ノーランをつなぐ夢の魔術師。

                トークライブ「ボルヘスの映画迷宮」ゴダール、ベルトルッチ、クリストファー・ノーランをつなぐ夢の魔術師。
              • 動物の分類(ボルヘス) – *ListFreak

                まえがき 動物とは次のように分類できる。 リスト 皇帝に属するもの香の匂いを放つもの飼い馴らされたもの乳呑み豚人魚お話に出てくるもの放し飼いの犬この分類自体に含まれているもの気が違ったように騒ぐもの算え切れぬものラクダの毛のごく細の毛筆で描かれたものその他今しがた壷を壊したもの遠くからハエのように見えるもの あとがき まえがきを含めて『ヤバい経営学: 世界のビジネスで行われている不都合な真実』より。 “これは、ホルヘ・ボルヘスの『続審問』に出てくる分類で、中国の古い百科事典にも出てくる。”とありますので、これは孫引き。以前にどこかで見かけて、次に見かけたら収集しようと思っていたのでした。 調べてみるとホルヘ・ルイス・ボルヘス 『異端審問』という本に載っている模様。この気が狂いそうな分類を巧みに使った短編小説とか、誰か書かないかしら。 タイトル: ヤバい経営学―世界のビジネスで行われている不

                • M・コダマさん死去 アルゼンチンの文豪・ボルヘスの妻、日系人

                  マリア・コダマさん(アルゼンチンの文豪、故ホルヘ・ルイス・ボルヘスの妻で日系人作家、翻訳家)26日、ブエノスアイレス郊外ビセンテロペスで死去、86歳。乳がんを患っていた。地元メディアが報じた。 1937年3月、ブエノスアイレスで日本人化学者コダマ・ヨサブロウ氏とドイツなどの血を引く母マリアさんの間に生まれた。ブエノスアイレス大で文学を学びボルヘスに師事、共に翻訳や執筆を行った。 86年4月にボルヘスと結婚、2カ月足らず後にボルヘスが肝臓がんのため86歳で死去。ボルヘスの著作などの相続人となり、88年にホルヘ・ルイス・ボルヘス国際財団を創設。晩年まで講演や執筆を続け、21年には自伝を出版した。(共同)

                    M・コダマさん死去 アルゼンチンの文豪・ボルヘスの妻、日系人
                  • 珠玉の文学的遺書:ボルヘスの『シェイクスピアの記憶』 - Ranun’s Library

                    昨年末出版されたばかりの「シェイクスピアの記憶」は、ボルヘスによる最晩年の作品。 「文学的遺書」とも呼ばれている。 数多ある短編のなかで、唯一翻訳されていなかった作品だと知り驚いた。 本邦初邦訳ということで、大変ありがたく読ませていただいた。 遺書を読むように、ゆっくり味わいつくしてみると、 あなたに海をあげよう というボルヘスの声が聞こえてくるような気がした。 シェイクスピアの記憶 (岩波文庫 赤792-10) 作者:ホルヘ・ルイス・ボルヘス岩波書店Amazon(4つの短編集。「一九八三年八月二十五日」「青い虎」「パラケルススの薔薇」が収録されている) あるかないかわからないもの、実体の見えないものから受ける恩恵は、どんなものよりも大きい という老子の言葉があるけれど、漠然とした神秘を感じる一方で、裏を返せば恐ろしい。 「シェイクスピアの記憶」はそんなお話。 きっかけは、ある寓話だった。

                      珠玉の文学的遺書:ボルヘスの『シェイクスピアの記憶』 - Ranun’s Library
                    • 検閲を歓迎(?)するボルヘス - プヒプヒ日記

                      小鷹信光氏といえばハードボイルドの名翻訳者・研究家として有名だが「ポルノ」という略称を日本語に定着させた人でもある(どこかの出版社が週刊新潮の氏の長期連載「めりけんポルノ」の完全版集成を出さないものだろうか)。 その背景にはかのオリンピア・プレスを牽引役とした60年代から70年代初めにかけてのポルノ大ブームがあった。小鷹氏が一時期あれほどポルノにのめりこんだというのも、アメリカの文化への氏の広汎な関心の一端だろうと思う。氏がドスケベであったためでは必ずしもあるまい。愛・蔵太氏といえば編集者としてやおい小説の出版に一時代を画した人だが、氏自身は同性愛者ではない(らしい)。それと同じようなものだと思う。 その証拠にアメリカでポルノが飽きられると同時に小鷹氏もすっぱりとポルノ紹介をやめている。またアメリカの言語への関心もそこにあったと思う。「めりけんポルノ」を精力的に翻訳紹介する一方、氏はいくつ

                        検閲を歓迎(?)するボルヘス - プヒプヒ日記
                      • 「さらばボルヘス、天才作家よ、嘘つきの老人よ」

                        Mario Varas Llosa, Medio siglo con Borges (Alfaguara, 2020). バルガス=リョサはこれまで枕になりそうな、敷石になりそうな本をたくさん書いてきた。その彼が「半世紀」ものボルヘスとの関係を書くというのだから、それはそれは大部なのだろうと思ったら、わずか百ページ強だった。 ……まあ、確かに、バルガス=リョサとボルヘスとは相容れないようだと僕も思う。バルガス=リョサがボルヘスについて書いた文章はそんなに多くはないのだろうと思う。 本書には63年と81年、二度にわたる対話、もしくはバルガス=リョサによるボルヘスへのインタヴューが掲載されている。それが思いのほか面白い。そしてまたその対話が二人の作家の決定的に相容れない性格と、それでも不思議と共通の作家への高い評価という点での一致をあぶり出している。 二人が一致して評価している作家というのはフ

                          「さらばボルヘス、天才作家よ、嘘つきの老人よ」
                        • 『∂語るボルヘス J・L・ボルヘス』

                          ∂1978年にブエノスアイレスのベルグラーノ大学で行なった、「書物」、「不死性」、「エマヌエル・スヴェーデンボリ」、「探偵小説」及び「時間」と題した5つの連続講演を収録したボルヘスの知性の塊の肉声が迫って来る貴重な講演集。この5つの講演は当時のボルヘスが身近と考えていたテーマを扱っている。この講演の際、ボルヘス79歳、既に失明しており、過去の自身の作品を振り返っている感がする。 縦横無尽に過去の文学者・哲学者・歴史を引用する該博なボルヘスの知識には驚嘆。エマヌエル・スヴェーデンボリとはスウェーデン生まれの哲学者兼神秘論者兼多分野における実務家、いわばボルヘスの同じ傾向。「探偵小説」以外を読むと、「伝奇集」中の「バベルの図書館」、「円環の廃墟」、「エル・アレフ」中の「不死の人」、「神の書き残された言葉」、表題作などの代表作が想起される。特に、<時間の循環性>(東洋風の<輪廻>)を扱っている点

                            『∂語るボルヘス J・L・ボルヘス』
                          • ホルヘ・ルイス・ボルヘス『詩という仕事について』(2000, 2011)

                            ホルヘ・ルイス・ボルヘス『詩という仕事について』(2000, 2011) ハーヴァード大学で1967年から翌年にかけて行われた詩をめぐる講義である。ボルヘス自ら言うようにこの講義の特色は、ボルヘスが膨大に蓄積された記憶の中から毎回引き出してくる「具体例」(p.84.)にある。しかも書かれたものに頼るのではなく、本当にその場で頭の中から取り出だして述べていたとのことである。 この講義のタイトルはThe craft of Verse。craftであるが、この講義の中にcraftという単語が出てくるそれはギリシア語から訳されたラテン語のことば「芸術は長し、生は短し」の、ジェフリー・チョーサー訳である(p.89.)。 The life is so short, the craft so long to learn. ボルヘス自身はこのsoの挿入に着目し、翻訳が詩人の実感としてなされていることに注目

                              ホルヘ・ルイス・ボルヘス『詩という仕事について』(2000, 2011)
                            • 「愛というものは……」ノーベル賞作家マルケスと、ラテンアメリカ文学もうひとりの巨匠・ボルヘスに見出す「不思議な愛の物語」とは (フィガロジャポン)

                              「愛というものは……」ノーベル賞作家マルケスと、ラテンアメリカ文学もうひとりの巨匠・ボルヘスに見出す「不思議な愛の物語」とは 文筆家・村上香住子が胸をときめかせた言葉を綴る連載「La boîte à bijoux pour les mots précieuxーことばの宝石箱」。今回はマジックリアリズムの旗手として知られるコロンビア出身のノーベル文学賞作家、ガブリエル・ガルシア=マルケスの言葉をご紹介。 「人には公と、私的と、秘密の生涯がある」文豪ガルシア=マルケスの言葉に見る「人間ら...

                                「愛というものは……」ノーベル賞作家マルケスと、ラテンアメリカ文学もうひとりの巨匠・ボルヘスに見出す「不思議な愛の物語」とは (フィガロジャポン)
                              • ボルヘスが結婚を申し込む女性に贈った意外なもの ボルヘス「アレフ」を読む - 安心感の研究 by 暖淡堂

                                ボルヘスは結婚を申し込むことになる女性に、物語を贈った。それが短編小説「アレフ」である。ボルヘスはノートに書き込んだ草稿を手に彼女のもとを訪れた。それをボルヘスが読み上げ、その女性がタイプライター原稿にした。その女性はエステラ・カントといった。 「階段の下のほうの右手に、耐えがたいほどの光を放つ、小さな、虹色の、一個の球体を私は見た。最初は、回転していると思った。すぐにその動きは、球体の内部の目まぐるしい光景から生じる、幻覚に過ぎないことを知った」(ボルヘス「アレフ」鼓直訳、岩波文庫) やがて解体されることになる建物の、地下室にアレフはあった。アレフを、この世のすべての地点から見ていた。同時に、アレフを通して、すべての地点を見ていた。地球上のもの、さらにその先の宇宙の涯のもの、大きなもの、小さなもの、現在のすべて、過去のすべて、個人的なもの、全てのものに共通のもの。アレフは「想像を絶する、

                                  ボルヘスが結婚を申し込む女性に贈った意外なもの ボルヘス「アレフ」を読む - 安心感の研究 by 暖淡堂
                                • 永遠と瞬間 ボルヘス『不死の人(エル・アレフ)』 - とらおの読書日記

                                  不死の人 (白水Uブックス―海外小説の誘惑) 作者:ホルヘ・ルイス ボルヘス白水社Amazon 読んだ本の内容を忘れるのは、何もボルヘスの短編に限ったことではない。しかし、ボルヘスの短編は、記憶として保存されない何かを語っているような気がしてならない。17の短編が収められた本書『不死の人』は、『伝奇集』とともにボルヘスの代表作として名高い。 ボルヘスは知的で端正な文体で、迷宮としての世界を描こうとする。ボルヘスの文学的な同志とも言えるイタロ・カルヴィーノは、ボルヘスの作品世界について、「厳格な幾何学に対応して黄道十二宮の星座がやどる、知性の空間の象徴であり類似である世界」(「ホルヘ・ルイス・ボルヘス」以下の引用も同じ)だという。おもしろいのは、現代の文学の主流を「存在とか言語、できごとの組織構造や無意識の探索など、マグマ的な蓄積の代替物を読者にあたえようとする」ものだと言っているところであ

                                    永遠と瞬間 ボルヘス『不死の人(エル・アレフ)』 - とらおの読書日記
                                  • ボルヘス アルゼンチン - Google 検索

                                    ホルヘ・フランシスコ・イシドロ・ルイス・ボルヘス・アセベードは、ホルヘ・ルイス・ボルヘスとして知られるアルゼンチン出身の作家、小説家、詩人。特に『伝奇集』などに収録された、夢や迷宮、無限と循環、架空の書物や作家、宗教・神などをモチーフとする幻想的な短編作品によって知られている。 ウィキペディア

                                    • 「ボルヘスにおける文学の不可能性について(年譜付き)」岩田レスキオ(エセー, 破滅派, 2020年)

                                        「ボルヘスにおける文学の不可能性について(年譜付き)」岩田レスキオ(エセー, 破滅派, 2020年)
                                      • 「ボルヘスにおける文学の不可能性について(年譜付き)」岩田レスキオ(エセー, 破滅派, 2020年)

                                          「ボルヘスにおける文学の不可能性について(年譜付き)」岩田レスキオ(エセー, 破滅派, 2020年)
                                        • ボルヘスの愛したベアトリス「アレフ」 - Ranun’s Library

                                          J.L.ボルヘスの短編「アレフ」を読みました。 短く簡潔な文章で、幻想的な世界を描くという作風で知られているボルヘス。 私にとっては、どの作品も決して簡潔な文章とは思えず、何度か読み返してなんとか理解できるほどのものです。 文章全体ではやや難解さを感じるのですが、簡潔なのは言葉なのだと思います。ボルヘスは自分の作品には辞書を引かなければわからないような単語を用いないようにしているそうですが、確かにそのとおりなのです。並外れた想像力や思想、そこから創出される異質な世界観を、誰にでも分かりやすい言葉でもって表現するその才能には圧倒されます。 『アレフ 』 J.L.ボルヘス; 鼓直訳, 岩波書店 , 2017 (原タイトル:El Aleph,1949) アレフ (岩波文庫) 作者:J.L.ボルヘス岩波書店Amazon 『幻想小説神髄 』筑摩書房, 2012.牛島信明訳 最終章に同じものが掲載され

                                            ボルヘスの愛したベアトリス「アレフ」 - Ranun’s Library
                                          • 文学批評 ボルヘスを斜めから読むための補助線 ――『タデオ・イシドロ・クルスの生涯(一八二九~一八七四)』/『エンマ・ツンツ』/『もうひとつの死』  - 秋谷高志 批評をめぐる試み

                                            ・ミュージカル『エヴィータ』の人気に、実在のエヴィータ(エバ)のカリスマ性、神話性が寄与していることは否めないだろう。丸谷才一はエッセイ『私怨の晴らし方』で、『まねごと』におけるボルヘスの完璧な私怨の晴らし方を紹介してから、比較して鷗外『空車(むなぐるま)』は、武者小路実篤が夏目漱石を賛美して鴎外を敬愛しないことへの揶揄であるという松本清張の解釈に賛同し、鷗外には「もともと詰まらぬことを根に持つて文を行(や)る癖(へき)があつた」と指摘し、「残念なことに出来が悪いし無内容である」と結んでいる。 《ボルヘスの伝記を読んで、徹底したペロン嫌ひであることを知り、いささか衝撃を受けた。この作家があの軍人を尊敬してゐるとはまさか思つてゐなかつたけれど。 もちろん彼があの大統領に反感を持つのは筋が通つてゐる。第一に彼は英米流の民主主義を奉じてゐて、独裁やファシズムは性に合はなかつた。第二にマチスモ(男

                                              文学批評 ボルヘスを斜めから読むための補助線 ――『タデオ・イシドロ・クルスの生涯(一八二九~一八七四)』/『エンマ・ツンツ』/『もうひとつの死』  - 秋谷高志 批評をめぐる試み
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